魔術戦闘
~カゲミヤ視点~
「・・・。ようやくきたか。」
短い。言葉だった。だが、その言葉には、いろんな意味があった。
「全部、わかってたのか。俺たちがキサラギさんを連れ戻しに特別訓練所へ行くことも、キサラギさんが俺を殺しきれないことも!」
俺はイラついた。全部、手のひらの中だったと思うと、やらさない気持ちになる。キサラギさんでさえも、こいつの思惑からは抜けられなかった。この家の警備が甘かったのもそのせいだ。でも、こっちには、勝算がある。単純に戦えば勝てないが、俺たちの目的はキサラギさんを元に戻すことだ。勝つことじゃない。
「ヒオリとヒレイは、どこにいると思う?」
俺がニヤリと笑うと、ウシジマは意味を察したようで眉をひそめた。
「なるほど、あいつを丸め込んだか。」
「そう言うことだ。キサラギさんを元に戻す方法を教えてもらおうか。」
実際には、ヒオリさんの部屋に2人ともいて、こいつの想像とはかけ離れていると思うが、まぁ、ユーモアの領域だ。
「ヒオリを人質にとっただけで答えてもらえると思ったか。」
ウシジマがパチン、と指を鳴らすと、俺の後ろが爆破した。
「元に戻したいんだったら、俺を倒してみたらどうだ?まぁ方法なんてないがな。」
俺は照明を破壊し、ウシジマにガラスの雨を降らせる。辺り一面にガラスが突き刺さる。
「取るに足らないいっときの感情のために、自分の命を捨てるとは、愚かな奴だ」
そう言うウシジマの近くには不自然にガラスがなく、そこだけ何もなかったかのようだった。
「ヒレイ!」
俺はヒレイを呼んだ。ヒレイは窓ガラスを割りながら、侵入すると、さっき倒した魔力持ちの剣を振った。
「うりぁーーー!」
だが、ヒレイの剣はガラスの破片によって止められた。さっき壊した照明のガラスの破片が宙に浮いている。
「つッ!この破片が!」
俺はその破片を銃で撃ち抜くが、ガラスは砕けないどころか、傷一つついていなかった。
まずい、ガラスはまだ、大量にある。数枚のガラスがヒレイを襲った。まず、剣が手から離れ、細切れにされた。そして、足から血が出。ひざをつく。
「ヒレイ!くるぞ!」
俺がウシジマを撃とうとすると、銃が破壊された。ヒレイは、ガラスに包まれ、嫌な音がする。すべてのガラスが落ちると、血まみれのヒレイがいた。だが、どうにもできない。
ガクガク震える足は、言うことを聞かず、近づいてくるウシジマを、見た。何も見えない中で、
「第2刑務所に連れて行け。」
そんな声が聞こえた気がした。
カゲミヤ・・・黒髪短髪。最難関の射撃テストで満点を取った、第2号。もちろん、接近戦や飛行機の操縦の腕もピカイチ。アルマ王国にいたが、カスノラにきた。アイカワさんを尊敬している。身長は高く、180を越している。