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 ただ、眼帯の男の子は変わらぬ無表情のまま

 

 

 

 「お前が、七瀬……」

 

 

 

 と誰にも聞こえない声で呟いた。

  その綺麗な蒼色の澄んだ瞳は、暗くて濃い影が落ちていた。

 

 

 

 でもそれをサッと隠したかと思うと。

 

 

 

 

 

 「自己紹介がまだだったな。俺、蒼瀬 尋。テキトーに宜しく」

 

 

 

 

 

 そう言ってとって付けたように笑った。

 その笑顔が何となく気がかりだった。

  けれど僕の疑問は、

 

 

 

 

 

 「執事、僕の夕食も取ってくれないか。お腹が空いた」

 

 「あ、僕も。僕はハヤシライス」

 

 「……ごぼうさ、らだ……」

 

 

 

 

 

 ご主人様たちの命令によって、脳内の片隅に置かれてしまった。

 

 僕はそれぞれご主人様たちの夕食をテーブルに置くと、最後にヒロ様のところに夕食を持って行った。

 

 

 

 

 

 「遅くなって申し訳ございません」

 

 「いや、別に」

 

 

 

 

 

 ヒロ様は素っ気なく言うと、僕が置いた夕食の前で手を合わせて頂きますと言った。

 

 

 一方で僕はご主人様たちの食事の様子を見ながら感嘆の息を漏らしていた。

  

 

 

 

 

 (リョウさん、料理のレパートリーすごすぎます……!)

 

 

 

 

 

 さくら様にはカレー、ルイくんにはハヤシライス、

 しろ様にはごぼうサラダ、黒瀬様には和食、ヒロ様にはおにぎり。

 

 

 これを全部一人で作れるなんて本当に大変だろうな。

 

 

 

 

 (僕、料理できないし……)

 

 

 

 

 

 執事になる前、つまりオジサンの家にいた時一度料理を作ろうとした事があった。

 挑戦したのはサンドイッチ。

 

 だけど何故か出来たのはケチャップのかかったレタスだけ。

 

 

 

 それからはオジサンが「掃除だけやってくれれば助かるから……」と同情するような目で料理をしてくれた。

 

 

 憧れるし僕も料理できるようになりたいなぁ……。

 

 

 

 なんて遠い目で料理を見ていたら、さくら様がふとこちらを振り返った。

 

 

 

 

  


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