おまけその1 話の紹介
ここから先、特にここと次の部は基本的に読む必要がないので飛ばしていい。こういうのはその時には書きたくなるが時が経つとひたすら痛いので。
そもそもこの作品はファンタジー指数の高い野球小説を書こうと思ったのが始まりだった。そのためにルールを意図的に無視して「高校野球で活躍する女投手」という所からイメージを膨らませた。主人公は美しさと強かさを兼ね備えたイメージで、ラストシーンから逆算して話を作った。
チームメイトは1日でまずざっくりと名前とポジションを考えて、そこから肉付けをした。個人的な印象としては最初の設定からほとんど変えていないように思っていたが、今最初のメモを見返すと半分以上の名前が変わっていたので驚く。主人公に関しては駄洒落のような命名、逆に言うと意味がある名前なので一切ぶれなかったが、それ以外の選手はちびちびと微調整がなされている。
各話のタイトルは某グループの歌のタイトルから取っているという壮絶に痛い事もしているが、その辺も含めて肩の力を抜いての執筆だったと言える。その辺のフレーバーは当初はもっとたくさんあったが書き進めるうちに角が取れていった。
本当はもっと漫画っぽいというのか、記号的な選手の組み合わせで形を作る感じのライトな作品になるはずだったのだが、突き抜けるのは難しいものだ。でもなんだかんだ言ってもお気に入りが複数入っているのはありがたい。
さて、ここからはおまけとしていくつかのデータを載せたい。しかしこのおまけ、はっきり言って読む必要がない。それでも書いた以上は載せようという自己満足指数が高い文章である。まずはストーリーダイジェスト、次に登場人物紹介、そして試合のスコア。ネタバレも多いので最初におまけから見るということはせず、可能な限り本編を読んだ後から読んでほしい。
第1話 南風にのせて
いきなり謎ポエム炸裂という攻めすぎな構成でスタートした本作。続いて現実の高校野球事情と本作の違いを説明。渚高校のモデルはもちろん「あぶない少年」で、当初はもっとそのまんまな名前だったが小手先の変更がなされた。サブタイトルも「あぶない少女」という案があったが、あくまでオリジナルタイトルを尊重するために候補から外れた。
所在地もドラマに合わせて漠然と「湘南」と考えていたが一部インターネット上で有名になった某ファミリーの本拠地である逗子市に落ち着いた。逗子市は湘南とは違うような気がするが、でも調べたところごく一部では湘南っぽい扱いもされてるようだ。そもそも湘南自体が大概外からの定義だからあやふやな部分があるのは仕方ないか。
話の後半はエミリーの説明。投手としては技巧派。人間としては割と平気で嘘をつくタイプだったりするし態度もコロコロ変えるし。まあイリーガルピッチするような投手だし残当。でも悪辣なだけでなくかわいさもある小悪魔的な(笑)魅力を目指した。また、地の文による説明披瀝だけではなく会話を増やすように努力はした。でもやっぱり全体的には説明に終始した感じはする。
第2話 課外授業
野球部は暑苦しい。そんな野球部を題材にしたためこの話も暑苦しい感じの導入となった。根性論も炸裂するが、実際ある程度は体で覚える必要がある部分も存在するわけだし。で、1年生の2人を出したわけだが、関西弁と丁寧口調のキャラは明確に「この台詞はこいつがしゃべってる」と分かるから便利ではある。エミリーもわざとらしい女口調だ。
内容は、つまり六川萌えか。主人公であるはずのエミリーはサポート役みたいな役割になってるし。エミリーがドラえもんで六川がのび太的な、と言うのか。ただエミリーはフィールディングがうまいという設定はここで出てきた。現実でも牽制とかフィールディングがうまい投手はかっこいい。
とりあえず堂島は関西弁でシュートを投げる、六川は丁寧な口調で肩がいいというのが基本ライン。あと、作中に名前こそ出ていないものの牧本や才と思しき選手は出てきている。
第3話 あの日の忘れもの
まずはメンバー決定。変な演出もいれたが肝心の顔文字がちょっとずれてて本懐を遂げられてないような。筆者に絵を描くセンスがあれば。前半は相変わらず六川主役でエミリーは保護者みたいになっているが、後半は過去回想なんかも入って主人公っぽくなった、はず。
美代菜とかエミリー的には凄く重要人物なのだが、本編ではイマイチ出せなかった。でも仮に美代菜が甲子園へ応援しに来たとしても「頑張って」とか「しっかり」みたいな台詞を一定の割合ではさむ程度しか出来ないような気がする。それなら心の中にしまっておいたほうがいいんじゃないかと考えた。ああ、でも名前がもったいないな。別の場所に使い回そうかな。
渚高校の野球部は「神奈川県内ではそれなりに知られているが全国的には無名」というレベル。あんまり強豪だと少女の出る幕がなさそうだし、あんまり弱くて少女1人が活躍しすぎるのも微妙だし。結果、中途半端なポジションに落ち着いた。特に先発投手はあんまり凄く設定しないように、野手は派手でもいいという発想で決めた。
才とかもっと出番が多いだろうと予測していたのに、結局活躍するのは野球の場面ばかりになってしまった。スペックが高すぎると逆にもてあますという事か。筆者の力量不足と言えば終わる話だけど。もっと悲惨なのはポジションを奪われたりチャンスで凡退したり馬鹿キャラにされたりな油谷かも。
第4話 永遠に一度の夏
まずは関西に到着してから開会式、1回戦へという流れ。この辺のディティールはもっと詳しく書きたかったが力及ばず。読み返すと凄いスピードで消化されていたので驚いた。チーム紹介とか校歌とかNHKの中継を見ているような臨場感が目標だった。宿泊施設に関しては、朝日新聞のサイトで調べたが神奈川県は新大阪駅から近いホテルに泊まるらしいのでそのようにした。
そして試合はワンサイドゲーム。まずは渚の強さをアピールした。最終回には取ってつけたようにエミリー登板。はっきり言ってどうでもいい場面だがしっかりと抑えた。そして最後には何か上滑りしたお話。自分でも何を言っているのかよく分かっていない。
いきなり悲惨な役回りの正克館高校。秋田県にはごめんなさいしないといけないよね。高校の読みは達川解説者御用達のアレ、ではなくて「しょくこくかん」となる。
第5話 勇気を出して
滝内回、と言えるだろうか。不良高校と戦うという展開はある種の定番だが、やはり不良はそれだけでキャラが立つというのか、分かりやすい異物なので便利と言える。そういう高校があるのは日本で一番やばいと言われる筑豊で、となった。また大阪がカマセか、とはならない。なお登場もしない模様。
不良たちの別名に関しては割と勢いに乗って書いた。ああいうのを考えるのは楽しい。紅林はただ粗暴なだけでなくちょっと不気味なイメージの選手。他の不良とは別格な感じを出したかった。
本当は「部員たちは真面目に野球したかったのに学校のイメージからどこも相手してくれなかった。渚にはぼろ負けだったけど初めてまともに試合できて嬉しい」みたいな展開だったのだが、想像以上に接戦となった。これもひとえに紅林の技量である。投手がいたら試合にはなる。エラーが怖いけど。
ラストは自分としてはかなり爽やかなのだが、そうでもないような。そもそもこの小説は全体的に爽やかさを意識した。それとスピード感も。
第6話 奇跡の女神
冒頭でさりげなく触れられているが、行われたはずの3回戦はスルーされている。実際対戦相手とか展開は考えていない。ただひとつ、主人公たるエミリーが試合に出場していないという点を除けば。だから描写はなかった。これこそ主人公特権。
いきなり茶番劇からスタート。これも一応ライトなノリのギャグっぽいものを書きたかったのだが、そもそもそんなセンスがないし経験もないという。
志摩青城高校という名前に関しては、まず家から電車一本で行ける志摩半島。実際行ったけどあそこは良い所だ。だから舞台とした。青城とは、私は小説を書く際に音楽を聞きながらというパターンが多いのだが、名前を考える時ちょうどランダム再生から流れてきたのがブルーシャトウだったのでそう名付けた。あれはそんなにいい曲とは思わないがなぜか飛ばせない、魔力のある曲だ。
作中で微妙なエロ風シーンもある。この辺とかもっとねちっこく描写しても良かったのか。いや、技量的にできないけど。まあ、ストーリーとしてはイリーガル疑惑の払拭という点で利用した。マスコミの疑惑の目とかいい加減邪魔だし。
第7話 熱帯夜
村上回。突如明かされる兄弟設定や無口設定。村上は元々第4話とかで強気な発言を連発していたのだが、その辺はこの話を書いた後で整合性を図るために削除された。確か1回表の攻撃で早くも先制点を取った事に対して「さすが才だ。このリード、絶対に守りきってやるぜ」みたいな台詞とかが削除された記憶。
向島工業に関しては、かつて向島に尾道工業というものがあったのでそれがまず第一のイメージ。それに尾道商業の古豪という部分をプラスした。今は全国大会にこそ出られていないものの地域では一定の地位はあるし、実際私の同級生や後輩で一番うまかった奴は尾商に行った。
背番号1が特にエースではない高校で一番有名なのは智弁和歌山だと思う。そういえばもう10年ぐらい前だと思うが浜名という背番号4のエースが甲子園で活躍した事があった。割田のケースは後者の急造投手であるが、背番号1は最後まで登場せず前者の要素もあるようだ。
延長で照明塔が灯るというエコに逆行した試合展開。今年なんか実際はかなり早くから試合開始なのでこんな展開にはまずならないのだが。空は暗くなった中でのふつふつとした熱戦なので熱帯夜というタイトル。かなりあっさり流されたのであまり機能していなかったが。当初はプロ気分で「延長12回で決着」としていたが、冷静に考えると高校野球は延長15回まであるので慌ててそのように変更した。なんてうかつな。
エミリーはファーストとして出場している。打撃は駄目だが守備はうまいというファーストらしからぬタイプではあるが、歴史的に見るとファースト守備で殿堂入りを果たした選手だっているし、守備も大事だ。それに打撃は駄目という制約ぐらいは加えないとそれこそチートになってしまう。それにしてもヒットを期待できないエミリーを7番打者とか監督は何を考えているのか。
第8話 若さのゆくえ
決勝戦の前振りのような回。相手はとても強くてそれまでの相手とは格が違うとアピールするために冒頭でチーム紹介を行った。そして左打者が多いので左に強いエミリー先発。渚の他の投手は右なので必然的にそうなるというものだ。でも京南は2人も右打者がいるから現実と比べると多いほうよ。
そしてエミリーと六川の会話が延々と続く。ここで設定とか伏線とか、そういうのを大体公開したつもりだった。ただPCが壊れなければもっと練られていただろうに。そういう意味ではこれから変化する可能性を秘めている部分である。
本当は2日に1回投稿して、投稿しない日に次の話の校正をがっちりというリズムでやっていきたかったのだが。PC死亡後はネットカフェに外付けHDD持っていって一気に投稿予約したから修正とか無理だった。本当は(改)ってのを作らない予定だったがもうこうなった以上はしょうがない。変えまくってやる。
とにかくまあ、そういうドラマパートだけで終わる予定だったが、次回の試合パートが長くなるだろうと予想して試合の最初の部分をこっちに編入させた。この辺ははっきり言って点差に動きのない部分なので隔離しても問題なかった。
第9話 君の涙に虹を見た
最終回。そしてその内容はひたすら試合。いきなり渚が先制するが直後に逆転というバックからの信頼を失いかねない失点の仕方をするエミリー。ただ相手が寺沼なので仕方ないという感じにはしたかった。
そして終盤の7回に謎の力を得て逆転。単純に技量を比べると安田や六川が浜浦からヒットを打てるはずがない。でも打ててしまうのがいわゆる「甲子園の魔物」という奴の戯れか。もう勢いだけとしか思えないような展開は現実でも良くある。
魔球に関する種明かしもなされる。最初は全部インチキのはずだったが「実は投げられない事もない」という設定に変化したのは第8話の会話を考えている時だった。それが良かったのか悪かったのかは知らない。
そしてトンデモ魔球で作中最強選手の寺沼から三振を奪う。まあこの辺はすでに理論的な何かをかなぐり捨てているオカルトじみた展開だ。まあ最後に壊れるにはかなりの負担をかけないといけないわけで。変化球を投げるのは大変だしアンダースローも大変。だからエミリーはとっても大変というわけだ。
上のほうでも言ったように、エミリーは最初からラストではもう投げられなくなる前提でこの小説を書いていた。だからエース村上は前の試合で無理な投球回数を投げさせされたし、坂口はいつの間にか怪我でフェードアウトしている。それもこの決勝戦でエミリーに負担をかけて、嫌な言い方になるが壊すためだ。まあばれたらいけない事してるわけだし、収まるところに収まったと言う事だ。
最後の最後で堂島登板。最後のシュートが大きく変化したのはエミリーのまつげにワセリンが仕込んであって、それが涙とともにボールにしみこんで堂島としては意図せずにイリーガルピッチをしたという構想があったがそれはうやむやになった。
ラストもゲームセットの瞬間ぶった切るように終了という男らしい終わり方。正直長くなりすぎたのもあったが、実際エピローグを長々としてもあまり意味がないように思えたのもある。夏の幻はこれで終わり。これからも彼女たちの人生は続くがそれを語る日は、多分来ないが来るかも知れないので今は何も言うまい。
まあプロへ行ったり大学や社会人で野球を続けたり、もちろんこの日限りで終わりという部員もいてエミリーもその1人だ。最後は覚悟の上だったのでエミリーに一切の悔いはない。やりたいと願った事はことごとく叶ったのだし。優勝が決まった瞬間、エミリーはおそらく笑っていただろう。そういう意味では紛れもないハッピーエンドでこの物語は終幕となった。




