146 何がどうしてこうなった(2)
4人での帰り道。
何がどうしてこうなったのか。
5人で道を歩いている。
悟と倉井、それに愛優ちゃんとオレ。
いつもなら、くだらない話で盛り上がりつつ、たまには真面目に勉強の話や野球の話なんかをしながら和気藹藹と下校時間を楽しんでいる。
だけど今日はぎこちない雰囲気が漂う中、どうすればいいのか4人が模索中。
何がどうしてこうなったのか。
5人で道を歩いている。
その5人目に気を使って話しかけるも生返事で。「大丈夫です」とか言いながらニコニコ顔で付いてくる。
何が大丈夫なのかも解らないけれど、本人が大丈夫だと言うのだからそれ以上何も言いようがない。
後ろを歩く愛優ちゃんのそのまた後ろで、ポニーテールを揺らしながらちょこちょこと歩いてついてくる人物。
なんだかへんてこりんな空気が漂っている。
この状況を誰か説明してくれ。
誰も彼女を誘っていないし、今日が初対面で性格も解らない相手とどう接していいのか。
ぎこちない会話が続く中で、愛優ちゃんも状況が掴めないであろうに、それでも気を使って小林さんに話しかけたりしている。
やっぱり愛優ちゃんは周りに気が使える素敵な人だと再認識。
だけど。
「おかまいなく」
そっけなく言い放たれた言葉に、流石の愛優ちゃんも困惑気味。
オレは男同士なら普通に話せるんだが、年下女子となると何を話していいのやら。
野球の話なら延々とできるんだが。とにかく話題がない。
この状況、ハッキリ言って気まずい。
すると愛優ちゃんがスッと傍に来て、オレに小声で話しかけてきた。
「ねえ空くん。彼女は誰かの知り合い?」
「ま、まさか」
「でもずっと付いてくるけど」
「さっき練習終わりに話しかけられただけで、知り合いじゃないよ」
「ふーん」
するとニヤニヤしながら悟がいらぬことを言う。
「部活中、空のことをハートの目でずっと見てたんだよ、彼女」
今は余計なこと言わなくていいよ。ややこしくなるから。
「え、そうなの!?」
「まあ……」
「じゃ、空くんのファンの子?」
「さあ……」
「そんでもって練習終わりに「一緒に帰ってくれませんか?」なんて言われちゃって」
うわあー。そこまで言っちゃいますか。
「えー!? それで一緒に帰ることにしたの?」
「いや、ちゃんと断ったよ」
「そうなんだ。だけど一緒に帰ってるよね」
「空はモテモテだからな」
もうやめてくれよ。
珍しく愛優ちゃんの目つきが鋭くなった気がする。
「それどういうこと?」
「いや、その」
とその時小林さんが、パパッとオレの横にやって来た。
え、何なんだ?
お読み下さりありがとうございました。
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