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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第8章 境目
136/148

136 センバツ(2)

 数日前に兵庫県西宮市の甲子園球場で行われた、センバツの組み合わせ抽選会。

 会場では各校の野球部主将がくじを引く。

 我が姿薔薇紫すばらし高校は、大会3日目の第2試合で初出場の高校と対戦することとなった。


 14日間に渡り繰り広げられる選抜高等学校野球大会。

 あれよあれよという間に、オレ達の試合日になる。

 程よい緊張感と溢れる期待を胸に抱きながら、当日の朝を迎えた。


 試合が始まる前の練習では、初めての甲子園出場に嬉しさと緊張が最高潮に達している相手校の選手達を、去年の夏の甲子園に出場した時の自分達と重ね合わせて、微笑ましく見ていた。あれから7ヶ月。オレ達はまたこの球場に来ることができた。


 前回は1回戦敗退となったが、今回は前回よりは先に進みたい。一歩ずつ先を目指したい。

 それが日頃支えてくれる周りの人たちへの恩返しになる。

 そう心に想いを詰め込んで、試合に挑む。



 本当は優勝を目指して! と言いたいところだが、それはオレの胸の中に仕舞しまっておこう。

 遙か先を見るのではなく、まずは目の前の試合に向き合い、1試合ずつに全力で力を注ぎ、着実に勝ち進んでいきたい。

 勝ちの積み重ねが、やがては“大きな目標”へと繋がると信じ。

 

 なぜなら優勝は目指すものではなくて、“勝ち取る”ものだから。

 少々強気な方が良い。

 

 試合が始まる時間だ。

 ベンチ前で円陣を組み、気合いを入れる。


「しまっていこー」


 主将の声に皆が応えた。


「おー」



 前回の夏の甲子園では、どちらも無得点のまま試合は進み、9回の表、オレはピッチャー返しにあい、左足を負傷してしまう。痛みを抑え、なんとか9回は投げきった。その裏、攻撃は無得点に終わり迎えた10回の表。オレは拒んだが、監督からピッチャー交代を告げられる。今後のことを考えてと、オレの足の怪我を心配してのことだが、正直悔しかった。

 ベンチに残ったオレは精一杯の応援に徹し、試合の行方を見守った――その時のことがふと頭をよぎる。


 忘れない。

 あの時の悔しさをバネに、この大会を駆け上がろう。

 スタンドでの応援を力に変えて。

 今持てる力を振り絞って、上へ、上へ。




 さあ、試合が始まる。

 二度とはない今日という日を精一杯がんばろう。


お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 136 センバツ(2)読みました。 兵庫県西宮市の甲子園球場  ↑めちゃくちゃリアル……!( *´艸`)♪ 頑張ってほしいです! どうなるかワクワクします~。(^ー^)
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