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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第8章 境目
125/148

125 学年末テスト(3)

 学年末テスト初日も無事終え、放課後を迎えた。

 今朝愛優ちゃんと約束した通り、一緒に勉強すべく教室に残る。


 オレは1学期末のテスト初日のことを思い出した。放課後、はじめはみんな残って勉強していたのに、最終的には愛優ちゃんとふたりきりになった時のことを。

 そう。オレとクラスの男子憧れの的、涼風愛優ちゃんのふたりきりになってしまって、内心ラッキーと思いながらも、硬派なオレは特に話しかけることもなく、ただ淡々と問題集を解いていたっけ。

 それが今では約束して一緒に勉強することになるなんて。

 季節ときの流れを感じる。


 あの頃は妙に緊張していたなぁ。

 いや。今でも愛優ちゃんと話すのは緊張するけど、いろんな出来事があって少しは近くなれたというか、ふたりで話しても、あの頃のように無愛想な感じではなくなったかな。

 それは凄い進歩だ。


 頑張ってるよ。頑張ってるよ、オレ。


 さあ、今日は勉強もはかどりそうだ。なんたって愛優ちゃんと一緒だからな。


 と、教室を見渡すと、愛優ちゃんがオレの方に向かって歩いてきた。


「お疲れさま」


「おお。お疲れ」


「今日の試験どうだった?」


「まあまあかな」


 あれ? オレ、なに緊張してんだろう。

 いつものように言葉がでてこないぞ。ぶっきらぼうなオレが顔を出した。


「隣に座ってもいい?」


「え?」


「隣の方が解らないところとか教え合いっこできるし」


 おお! なんと気の利く。というか、テンションが上がってきたぞ。

 そうだな。どうぞどうぞ、隣で仲良く勉強しようぜ! と言いたいところだが。


「そうだな」


 なんだなんだ空! 思ったよりも緊張しているみたいだ。

 まあ、勉強するんだからヘラヘラしてる方がおかしいけど。


「お。もうはじめてるのか?」


 そこへ悟がやってきた。


「は? なにを?」


 なんのことを言っているのやら。


「おじゃまします」


 眼鏡の端を左手の中指でクイッと上げ、礼儀正しく倉井が言う。


 そんなふたりを見て、愛優ちゃんが言ったんだ。


「全員揃ったわね」


 は? なんですと!?


「倉井たちも一緒だったんだな」


「あ、お邪魔でしたか?」


 いやいや倉井。そう言われると返す言葉に困るじゃないか。


「ま、まさか」


 苦笑とともに返した。

 オレ達ふたりじゃなかったのか。

 なんという勘違い。


 そう思うと恥ずかしさで耳が熱くなっていくのを感じる。


「さ、はじめましょう。4人で勉強した方がはかどると思って。学年トップの倉井くんがいれば百人力。江崎くんは賑やかし? みたいな」


 そう言ってふふふと笑う彼女をオレはお慕い申し上げています。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 125 学年末テスト(3)まで読みました。 クリスマスに女の子の家で宿題! 最高ですね!(>_<)b また、微妙に邪魔されて二人になれないところも、面白かったです。 積雪3センチ。2本…
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