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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第7章 岐路
117/148

117 大事な局面(2)

 オレは今、少々居心地の悪い空間にいる。

 今日はクリスマス・イヴ。愛優ちゃんとケーキを食べる約束で、今一緒にいるわけだが。

 

 愛優ちゃんが行きたいと言ってオレを連れてきたところ。

 ピンクや水色をメインに可愛く彩られた店内。


 いや、あの。オレ、こう見えても高校球児だから。

 シャイで奥手で硬派で……こんな可愛らしい空間に女子とふたりでいるなんて、人生ではじめてのことだし。

 ワイワイきゃあきゃあと高い声が飛び交う中、きっとオレは浮いている。

 周りを見渡しても女子ばかり。今、この店内で男子はオレだけなんだけど。


 心なしか、チラリチラリと視線を感じる気がする。


「ここのスイーツビュッフェ、一度来てみたかったんだぁ」


 愛優ちゃんの瞳がきらきらと光る。


「へ、へえ」


 嬉しそうな彼女に、オレは場違いな気がするとはとても言えない。


「ねえねえ、何から食べよっか」


 スイーツが並べられた場所まで引っ張って行かれたオレ。

 見るとそこには色とりどりのケーキやカップケーキ、プリンにクッキー、チョコレートにゼリー、アイスクリームや他にも見たことのないような美味しそうなスイーツが並んでいる。


「そうだなぁ」


 オレは目移りしてしまったが、無難なイチゴのショートケーキにした。

 愛優ちゃんはチョコレートが好きなようで、チョコレートケーキの三種盛りを嬉しそうに選んでいた。


 ここのお店はビュッフェといっても、自分達で並べられているスイーツを直接手に取るわけではなく、食べたいものを決めて注文するスタイルだ。

 飲み物もそこでオーダーする。

 すると後ほど係のひとが席まで持ってきてくれるというシステム。


 カウンター越しに注文したオレ達は、席に戻ってスイーツと飲み物の到着を待った。


 少しして、可愛いお皿に載せられたケーキとホットコーヒー2つが運ばれてくる。


「お待たせしました。ご注文はお席でも承りますので、お声かけ下さいね」


 係のひとはそう言って微笑んだ。


「はーい」


 少々テンション高めの愛優ちゃんが返事をする。

 オレは軽く会釈をした。


 気づけば周りには男子の姿も見られるようになっていた。

 オレだけじゃなかった、と安堵する。


「空くん、メリークリスマス!」


 愛優ちゃんが満面の笑みでオレに言う。


「メリークリスマス!」


 オレは照れ笑いをしながらも答えた。



お読み下さりありがとうございました。


次話「118 大事な局面(3)」もよろしくお願いします\(^O^)/

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