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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第7章 岐路
115/148

115 高校野球秋季大会(2)

 それから我が姿薔薇紫すばらし高校野球部は、全国で10の地区に分かれた地区大会に進んだ。その地区大会でも順調に勝ち進み、優勝することができた。

 兄貴と愛優ちゃんはスタンドから応援してくれて、それがかなりの力になっていたことは言うまでもない。


 オレが追い詰められて弱気になりかけたとき、やっぱりスタンドの兄貴の方に目がいった。いざというときに頼ってしまうのはオレのこころが弱いからなのかもしれないが、やはり兄貴の顔を見ると落ち着くし、拳を握って「ガンバレ」と応援してくれる兄貴に、勇気をもらえた。


 逆にピッチングでピンチをすり抜けたときや、バッティングで活躍できたときには、愛優ちゃんの「やった」と喜ぶ姿に元気をもらえる。


 兄貴と愛優ちゃんが嬉しそうにハイタッチをしている姿に笑みがこぼれた。

 ふたりには感謝の気持ちでいっぱいだ。



 後で愛優ちゃんに聞いた話だけど、倉井もどうやらスタンドに来てくれていたらしい。

 普段口には出さないが、応援したり心配したりしてくれているのだろう。

 わざわざ球場にまで足を運んでくれた倉井の気持ちが嬉しかった。


 ただ、兄貴と愛優ちゃんには声をかけずに、倉井はときたま眼鏡の端を左手でクイッと上げながら、真剣な面持ちで、しかも身を乗り出して観戦していたということだった。

 たまたま目が合った愛優ちゃんが手を振ると、少し口角を上げ、また眼鏡の端を左手でクイッと上げ、うなずいたという。


「倉井くんも私たちと一緒に応援すればよかったのにね」


 愛優ちゃんはそう言ったが、オレは倉井らしいなと思った。

 兄貴と愛優ちゃんに気を使ったのだと思うが、それを悟られたくなかったのだろう。

 優勝が決まったときに、小さくガッツポーズをしていたという倉井の姿を、オレも見てみたかったな。



 そしていよいよ東京で行われる全国大会、即ち明治神宮大会に出場することができた。


 そこでは惜しくも準々決勝敗退となったが、試合の内容的にはまずまずだったと思う。

 良いところはこのまま伸ばし、反省点は今後に活かせるように練習に励んでいく。



 オレ達のチームは来年の春の『選抜高等学校野球大会』に出場するチーム32校に選抜され、新たな目標が定まった。

 兄貴との約束を思い出し、オレは改めて気を引き締める。




 それから時間ときは流れ……。




お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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