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『べつにいーけど』   作者: 藤乃 澄乃
第6章 転機
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101/151

101 『みんながんばろうぜ!』コンサート(1)

 コンサート開始30分前。

 みんながそわそわしだした。

 最終チェックも念入りに行われ、楽屋にて待機。


 細かいハモりなんかを調整しながら口づさんだりして、オレはその時を待っていた。

 優希さんも愛優ちゃんもエアーピアノとでも言うべきか、膝の上や机の上でピアノの指使いの練習をしているようだ。

 兄貴は慣れているのか余裕があるのか、他のメンバー達と談笑している。


 オレは静かに呼吸を整えた。


 そうこうしているうちに、開演3分前の連絡が入り、みんなに緊張が走る。

 オレ達は輪になって、気合いを入れるべく声をかけ合う。



「『みんながんばろうぜ!』コンサート、がんばろうぜ!」


「おー!」


 最後に兄貴の声にみんな声を合わせて言った。


 それと同時にそれぞれが楽器を持って舞台袖に向かう。

 愛優ちゃんと優希さんはピアノ担当なので、手ぶらだけれど。


 コンサートではみんな楽譜は見ない。

 全て頭の中にある。一生懸命練習したんだから、あとは本番で頑張るだけだ。


 舞台袖から見える客席は先ほどのぞいたときよりもお客さんの数が増えている。

 ベルが鳴り、客電が消えて場内アナウンスが開演を告げる。



「いよいよね」


 愛優ちゃんに声をかけられて、オレは答える。


「うん。楽しもうぜ」


 兄貴とオレと優希さんと愛優ちゃん。

 この4人で同じステージに立てるチャンスなんて、今後あるかないか解らない。

 だから、緊張はするけれど、今を、この時を思いっきり楽しもうと思う。

 そして大切な宝物にしたいんだ。

 

 会場は既に熱気に包まれている。


 まずは兄貴たちのバンドメンバーでのコンサートが始まる。

 途中、あの曲の番になったら、兄貴と優希さん以外のメンバーは袖に入り、それと交代にオレと愛優ちゃんがステージに向かい加わるということだ。


 オレはその時まで舞台袖で兄貴たちの音楽を楽しむ。


 兄貴たちのバンドは大学でも人気があるので、会場も満員のお客さんで賑わっていたが、兄貴たちの登場でますますヒートアップしている。

 まず1曲目はアップテンポのノリのいい曲だ。

 場内もテンションが上がって良い感じに盛り上がっている。

 掴みはオッケーというところだろうか。


 兄のバンドのメンバーは4人。

 愛優ちゃんのお姉さんであるピアノ担当の優希さん以外は、3人とも男性だ。

 それぞれにファンもついているっていうから、大したものだ。



 テンポの良い曲が続き、途中メンバー紹介が入る。

 それぞれ紹介されると『見せ場』である『ソロ』を披露する。

 メンバーの紹介が終わるとまた歌の後半部分に入る。


 そして観客も手拍子ありジャンプありで盛り上がってきたところで、曲はスローに変わり、少しのトークタイムになる。

 しばらく兄貴のジョークを交えたトークで、会場も聞き入ったり笑ったりと楽しそうだ。



 そこで遂にその時がきた。

 兄貴はおもむろにアコースティックギターをスタンドから持ち上げて、ストラップを肩にかける。

 ステージ上の兄貴に紹介され、オレは愛優ちゃんとうなずき合って、ステージへと一歩を踏み出した。



お読み下さりありがとうございました。


次話「101 『みんながんばろうぜ!』コンサート(2)」もよろしくお願いします!

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