水槽の中どん!
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しばらく車に乗っていると、どんどんは、いつの間にか寝てしまいました。一生懸命歌を歌って、きっと疲れたのでしょう。
次に目覚めると、水槽の中でした。何やら賑やかな水槽の中でした。
どこからか、ひそひそ話が聞えて来ました。
「何なの?あの魚、人間みたい!」
ここはどこなのでしょう?海のように大きな水槽の中です。陸はどこでしょうか?おじいさんはどこでしょうか?
どんどんは小魚に話しかけようとしましたが、皆どんどんを避けるように逃げて行きました。
すると、ウツボの兄弟がやって来てどんどんをつつきました。
「やい!お前、魚か?それとも、人間か?」
「おいどん、人魚どん。半分人間半分魚どん。」
「変な奴!」
そう言ってウツボの兄弟はどこかへ行こうとしました。どんどんはそのうちの一匹を引き止めました。
「待つどん!陸はどこどん?」
「陸?」
「あはははははは!!」
ウツボの兄弟は大笑いしました。
「ここに陸なんかない。」
「そうだそうだ!」
「陸はない?どうしてどん?」
ウツボの兄弟は今度は笑いませんでした。二匹で顔を見合わせると、どんどんを見て嫌な顔をしました。
「ここが陸だからだよ。」
「ここが陸の、水族館って所だよ。」
そうです。ここは水族館の水槽の中でした。
「ここはいい所だぜ。」
「そうか?俺は退屈だぜ。」
「退屈ならこいつの事小突くか?」
そう言ってウツボの兄弟が目をギラつかせながら、にじり寄って来ました。
すると、水面から声が聞えてました。
「おーい!人魚君!」
人魚どんは慌てて水面の方へ逃げました。
「おいどん、人魚のどんどんどん!」
「どんどんどん?名前があるんだね。まぁ、そんなのはどうでもいい。君には専用の水槽を用意するからね。それまでここで我慢していておくれ。」
「陸は?陸はどこどん?」
どんどんの言葉に、おじさんもウツボの兄弟と答えは同じでした。
「陸?ここが陸だろう?」
「そうじゃないどん!」
「何か欲しい物はあるかい?君は何を食べて生きているんだい?」
どんどんが食べたい物?小魚やワカメはもう嫌でした。
「どんどん、うどん、天丼、カツ丼がいいどん!」
「思ったより人間の食べ物が好みなんだね。わかった。君の働きに応じて用意しよう。」
そう言っておじさんはどこかへ行ってしまいました。
どんどんはガラスの向こうの暗い部屋を眺めながら、陸の事を考えていました。
「陸……ちゃんと家に帰れたどん?」
どんどんが誘拐されたのは、つぶれかけの水族館でした。水族館では当然、演歌歌手にはなれませんでした。
こうしてどんどんは、水族館で展示物になりました。




