友達だどん!
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陸地で不安になっていたどんどんは、まるで迷子の子供のようでした。どんどんはまだ上手に歩く事もできません。
そこで、どんどんは病院のリハビリセンターに預けられる事になりました。
病院では、どんどんは歩く練習をしました。ご飯はどれも美味しくて、人々は皆優しく、どんどんの不安はいつの間にか無くなっていました。
どんどんは病院で、どんどんどんどん歩けるようになり、どんどんどんどん知り合いも増えました。
一緒に練習を手助けしてくれる先生や看護師さん、足の悪いおばあちゃんや、右半分が上手く動かせないおじさん。特に仲良しになったのは、脚を怪我した小学生の男の子でした。その男の子は辰義という名前でした。
どんどんはどんどん練習をして、どんどん歩けるようになりました。2日もすれば、すっかり普通に歩けるようになりました。
そんな時、辰義少年の元に陸という少年がお見舞いにやって来ました。
「たっちゃん!」
「陸!」
二人の少年はお互いを見つけると、嬉しそうにお互いの名前を呼び合いました。しかし、すぐに辰義少年の隣が気になって、二人でどんどんを見あげました。
どんどんは陸という少年を思い出しました。砂浜でどんどんをつついた少年です。
「陸!久しぶりだどん!」
「どんどん!?」
辰義少年は、どんどんが友達の友達という事に驚きました。
「僕が砂浜で見つけたんだ。」
「陸には世話になったどん。」
「どんどんは最初からどんどん言ってたの?」
「うーん、多分?」
二人の少年はまじまじとどんどんを見ました。どんどんは何だか恥ずかしくなって、顔を手で隠して言いました。
「そんなに見つめられると恥ずかしいどん!どんどんは最初からどんどんだどん。」
そんなどんどんを放っておいて、二人の少年は辰義少年の病室へ行って、二人でベッドに座りました。
「どんどんも一緒に座りたいどん!」
どんどんは大きな体で二人の少年の間に座りました。
「えーと、あの…………」
二人の少年は少し困りましたが、陸という少年はベッドから降りて、辰義少年に言いました。
「今日、給食の先生にいい事聞いたんだ。魚を頭から食べると頭が良くなって、しっぽから食べると足が早くなるんだってさ!」
「なんと!それは本当だどん!?」
どんどんは驚きました。海ではそんな事は聞いたことがありませんでした。
「でも、陸は魚が食べられないんだよね?」
「僕はいいんだ。魚になんか頼らないから。」
どうやら陸少年は、魚が嫌いなようでした。
「たっちゃんなら魚なんか食べなくてもすぐに早く走れるようになると思うけど!一応、教えとこうと思って!」
「ありがとう……。」
辰義少年はその言葉に、少し困ったような笑顔で微笑みました。
「早くみんなと走り回れるように頑張るよ!」
すると、どんどんは左右に首を降って、陸少年に訊きました。
「どんどん、歌が上手くなりたいどん。魚のどこから食べればいいどん?」
「さぁ…………?」
「どんどんは歌手になりたいの?」
どんどんはどーんと胸を張って答えました。
「どんどん、演歌歌手になるどん!」
「なれるといいね。」
「友達が演歌歌手なったら凄いよな!」
友達?
「どんどん、二人の友達どん?」
「そうだよ!どんどん!」
陸地で2日間過ごしたどんどんは、まだまだ演歌歌手にはなれませんでした。
しかし、二人の少年の友達になりました。