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どんどん人魚どん  作者: 路世 志真
14/16

海鮮丼


14


陸の家に入ると、陸の家族が待っていました。ちょうどお昼ご飯の支度が終わった所でした。


「今日はどんどんの好きな海鮮丼にしたよ。」


テーブルには、海の幸で彩られた美味しそうな海鮮丼がありました。しかし、どんどんは言いました。


「魚は嫌いになった。」


どんどんがそう言うと、みんなは黙ってしまいました。そんな沈黙をやぶったのはお父さんでした。


「そうか、じゃあ別のお昼にしようか。いやぁ、どんどん、もうすっかり有名人だね。」

陸のお父さんが明るく言いました。


「何だか別の人みたいね。見違えたわ。」

陸のお母さんも明るく言いました。


「どんどん、握手して。」

陸のお姉さんが手を差し出して言いました。


どんどんがお姉さんと握手していると、ずっと黙っていた陸が力いっぱい叫びました。


「こんなの、どんどんじゃない!!」

「陸!」


お母さんが呼び止めるのも聞かず、陸は外へ出て行ってしまいました。


残されたどんどんに、お父さんは話始めました。

「どんどんは魚が嫌いになったんだね。それは残念だ。実は、海鮮丼はね、じっちゃんがどんどんに食べさせたいって言っていたんだ。」

「おじいさんは?」


そういえば、おじいさんの姿が見当たりません。おじいさんはどこでしょう?


お父さんは首を横に振って言いました。


「おじいさんは1ヶ月前に亡くなったんだよ。」

「なくなった?いなくなった?」

「亡くなった。は、死んだって事だよ。」


なんと、おじいさんはもうこの世にはいませんでした。どんどんはガッカリで、寂しくて、何だか重い気持ちになりました。


すると、お姉さんが言いました。

「じっちゃん、どんどんが有名になって、喜んでたよ。」

「ありがとう。ありがとう、どんどん。」

お母さんはエプロンの裾で目頭を抑えながら、どんどんにお礼を言いました。


『ありがとう。』


そう言われたどんどんは、嬉しくなりました。不思議でした。どんなに沢山の拍手よりも、その言葉が嬉しくてたまりせんでした。


「でも、どんどんは、どんどん言ってる方がどんどんらしいよ。」

「どんどん?どんどん言ってたどん?」


どんどんがそう言うと、みんなは少し笑いました。不思議でした。どんなに贅沢なご飯よりも、その笑顔が嬉しくてたまりませんでした。


こうしてどんどんは、少し、元のどんどんに戻りました。


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