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どんどん人魚どん  作者: 路世 志真
12/16

鮭なベィベー!


12


どんどんがどんどん有名になると、社長のおじさんは嬉しそうでした。

「いやぁ!どんどん、デビュー曲がいい売れ行きだよ!」


どんどんには持ち歌ができました。『鮭なベィベー!』という曲です。しかし、その曲は演歌ではありませんでした。それでも、どんどんはその歌を一生懸命歌いました。


いつも沢山の拍手をもらうどんどんは、正真正銘の本物の歌手になれたのです。


すると、おじさんはどんどんに、こんな事を言いました。

「これで海に残して来た家族も、さぞ喜ぶだろうね。」


家族…………?海には家族はいません。どんどんの家族は、陸の家だけでした。すると、何だか陸やおじいさんが恋しくなりました。


「おいどん、陸に会いたいどん。」


何だかどんどんは、どんどんどんどん陸やおじいさんに会いたくなりました。


社長のおじさんは、少し考えて言いました。

「じゃあ、仕事が落ち着いたら会いに行くかい?」

「本当どん!?」


その後、どんどんは一生懸命仕事をして、どんどん拍手をもらいましたが、仕事は落ち着くどころかもっともっと忙しくなりました。


やがて、どんどんは忙しさに、心を亡くしました。


社長さんは忙しいどんどんのために、海を思い出せるように水槽のある飲食店に行きました。


すると、水槽の中から魚達のひそひそ話が聞えて来ました。

「あれが噂の人魚だよ。」

「人魚?今はもう人間でしょ?」

「魚から人間になったおかしな奴さ。」


どうやら魚の声は、どんどんにしか聞こえないようでした。


「食べられる側から食べる方になれて、さぞ気分がいいだろうね。」

「よっぽど食べられたくないんでしょうね。」

「それで本当に幸せなのかしら?」


どんどんは、水槽の魚達に、どんどんどんどん悪口を言われました。


「自分だけ生き残ればそれでいんだな。」

「共食いなんて最低~!」

「そのまま人間に成り下がれ最低野郎!」


我慢の限界になったどんどんは、大きな声で叫びました。


「うるさい!うるさい!だから海なんて嫌いなんだ!」


どんどんの様子に、社長のおじさんは驚きました。

「どうしたんだい?どんどん?」


それでも、どんどんは叫び続けました。


「お前達みたいな、ただの魚に何がわかるんだ!?」


そして、目の前に出ていた魚料理をひっくり返し、床に叩きつけました。


「お前達なんか、こうやって捨ててやる!!」

「止めるんだ、どんどん!」

「もう海になんか帰るもんか!」


こうしてどんどんは、人間になる事ができました。


しかし、人間になったどんどんは…………


どんどんではなくなりました。


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