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どんどん人魚どん  作者: 路世 志真
10/16

水族館から逃げ出すどん!


10


それから何日が経ったでしょうか?どんどんの水槽は大盛況で、長蛇の列ができました。毎日、毎日、陸に似た子供達がやって来ます。


どんどんは子供達に話しかけました。

「陸はどこにいるどん?」

それでも、ガラスの向こうにどんどんの声が届く事はありませんでした。


すると、水面から声が聞えました。

「どんどん!昼食の時間だよ~!」


いつものように水面に上がると、おじさんにどんぶりを手渡されました。今日のお昼ご飯は牛丼でした。

「いただきますどん。」

どんどんは牛丼を一口食べると、ずっと気になっていた事をおじさんに聞いてみました。


「おいどんはいつ食べられるどん?」


おじさんは驚いて慌てて言いました。

「え?牛丼は気に入らなかったかい?」

「そうじゃないどん。牛丼は好きだどん。魚は皆、陸にあがれば食べられるのだとサメのおじさんに教わったどん。」


おじさんはまた大笑いしました。


「そうとは限らないよ。君の仕事は海の世界を見せる事だ。」

「海の世界?」

「僕達人間は海の中の世界を知らない。だから、珍しい海の生き物を見てみたいんだよ。だからみんな君を見に来るんだ。」


どんどんはスプーンを置いて考えました。ここにいれば、誰かに食べられる事はありません。お腹が空く事もありません。


でも、このままここにいていいのか?自分はここにいて幸せなのか?ここにいては演歌歌手にはなれません。


どんどんはここを出る事を決心しました。


「おいどん、やっぱり拍手が欲しいどん。」

「拍手?ショーをやりたいのかい?いいよ。考えてみるよ。」


拍手がもらえれば、人間になれるかもしれません。


それから何日かして、どんどんはアシカと一緒にショーをする事になりました。最初にどんどんは、みんなに海の歌を聞いてもらいました。


すると、誰も、何も、拍手はありませんでした。


アシカが見せる芸の方がよっぽど拍手をもらっています。


「今度は、陸の歌を歌うどん!」


どんどんは陸の家で覚えた、演歌を歌いました。


すると…………


とても沢山の拍手をもらいました。その拍手にどんどんは、どんどんどんどん嬉しくなって、どんどん歌いました。


しかし…………


いつの間にかお客さんがざわざわしてきました。


どんどんはやっと気がつきました。足が人間の足になっていて、どんどんは丸裸で立っていました。


「嘘つきー!!」

「変態!!」

「この詐欺師ー!!」


お客さんの罵声と共に、ステージには様々な物が投げられ、どんどんは走って逃げました。久しぶりの足に、なかなか上手く走れませんでしたが、精一杯走りました。


今度こそ海に帰ろう!!


水族館でショーをしたどんどんは、今度も演歌歌手にはなれませんでした。


こうして、水族館を逃げ出したどんどんは、指名手配犯になりました。


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