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最終回 異形霊媒探偵 冥 シスイ




あれから半年が経った。


私は高校を卒業して、異形霊媒探偵事務所を設立した。


過去の私からすれば、異形霊媒の依頼で貯めたお金を注ぎ込み、自分の事務所を建てるなんて思いもしなかっただろう。




なかなか会社として仕事をするという事は、個人でやるより大変な事だなと、日々痛感し忙しく過ごしている。


でも、私には頼れる仲間がいるので、なんとか慣れながらてやっていけてる。


鏡で見る、かなり伸びた髪と、スーツ姿に関しては、まだ全然慣れないが。




天の扉と、リョクの騒動以降は、大きな問題は起きてはいないが、私達の世界はあらゆる存在がひしめき合っている状態なので、異形霊媒の仕事はどんどん増えてきている。




私の探偵事務所は、現在三名が在籍している。


私と、秘書のヒノ、アルバイトの響だ。


学生時代のように、楽しくやれる分だけ幸せかもしれない。


響が、いつも危険な案件に勝手に突っ込んで、私達は説教しながら助けるが、何故か大成功するというのがいつもパターンだ。





周りのみんなも新しい生活を頑張っている。




幽明も高校を卒業してから、私と同じく、自分で設立した異形霊媒探偵事務所で働いている。


元々事務所は高校時代から設立していたのだけれど、卒業と同時に、大きな店舗建てていた。


天の扉が開いてから繁盛しているらしく、今後は電脳都市にも店舗を建てようかな?と考えているらしい。幽明らしく、とてもハングリーだ。


さらには、転移魔法を覚えて異界を飛び回ったり、正社員兼助手のクオリアちゃんと、あのUFOを使って異星間を飛び回る事もあるんだとか。


銀河や異界を又にかける、賞金稼ぎみたいでなんか凄い。





ドミノはなんと幽霊の女の子と結婚したらしい。


どういういきさつかは聞いていないが、結婚式に出てみた所、ドミノには勿体ない程の超美少女で、心底優しそうな雰囲気の女の子だった。


ドミノ曰く、好き過ぎて毎日頭がおかしくなりそうらしい……


よくみんなでトドリのメイド喫茶に集まるが、その話ばかりするからちょっとめんどくさい。お前の話はいいから、肝心な夜海サンを連れて来てもっと話させてって感じだ。


後、そういえば、結婚を機に気の合う仲間達と、電気街で事業を始めたらしい。


サーカス、ダンス、メイド喫茶、オタクフィギュア、ラーメン屋、全部モリモリ


のエンタメサービスのビルを運営してるんだとか。





ミコトちゃんは、一学年進級し、この半年でかなり背も伸びてすっかりお姉さんだ。


正直お姉さんになり過ぎて、あの頃のミコトちゃんが恋しい。


それなのに私に、へびの真似してとか、まだ迫ってくるんだからなんか笑える。


私の事務所にはよく遊びに来て、散々私達三人をイジっては、悪戯っぽく笑って帰って行く。


ミコトちゃんのこれからの目標は、日本各地にいる強大な妖魔王達を統べて、さらにパワーアップしてこの国の安全を守るんだって。





ノウコさんは、お姉さんになったミコトちゃんにゾッコンラブを通りこして、狂気のレベルに入ってきている。


もはや、不老不死の妙薬を手に入れ、ミコトちゃんに飲ませたいと、真顔で言っていた。


ミコトちゃん曰く、この日本には、幻の刀や不老不死の妙薬をいっぺんに持つ、伝説の妖魔が存在しているらしい。


ノウコさんは、その妖魔を見つけるべく、奔走するのが今の生きがいらしい。






トドリとミレアは、なんと二店舗目のメイド喫茶を出店した。


二店舗目の店長もトドリが兼任するらしい。


トドリに関しては、新たに配信チャンネルも作り、超インフルエンサーも兼業しているから、なかなかに忙しいくいつも悲鳴を上げてる。


でも、その顔はとても充実している気がする。


都心を歩けば、一つはトドリの広告を見かける程の人気で、かつて一世風靡した時の人気を超えそうな勢いだ。


何故かは分からないが、私の事が大好きらしく、一日に一回はメッセージが届き、返信が遅いと、次会った時に結構怒られる。





ミレアに関しては、特に変わりなく、怠惰に自由気ままに、ちゅっちゅ言っている。


結構二人で出掛けたりもするが、本当にちゅっちゅ言っている。


でも、彼女なりに今の幸せを噛み締めながら、毎日過ごしていて、傍から見てたら本当に羨ましく見えたりもする。


ミレア曰く、平凡な今が大好きらしい。


後、料理の勉強をちょっとずつして、メイド喫茶で振舞ったりもしてるらしい。


理由は、流石に先輩の威厳が無くなって来ているからだとか。


ここだけの秘密だが、彼氏がミレアにぞっこん過ぎて困っているらしい。


とは言いつつ、トドリ曰く、次いつ会えるかなーと毎日家で言ってるんだって。





怪丘さんは、あらゆる異形関連の問題を解決した功績を評価され、昇進したらしい。


それでも、現場に出向いて解決するのが好きらしく、呪われた街やら、呪われた小学校など、心霊系の都市伝説を解決すべく、あらゆる不穏な場所に出向き、その力を発揮してるのだとか。


魔術をちょっと勉強してるらしく、戦闘が得意になったと喜んでいた。


日本全国怪奇譚の旅と言う、イベントを企画して、私達を誘って来たりもする。





ルリメアちゃんに関しては、もはや私達色というか、現代色に染まり過ぎて、


スマホをいじって、SNSと配信動画に明け暮れている。


偶に、一人暮らしの私の家に来て、最近流行りのアニメを一緒に見ながら、ネットの話題をマシンガンのように話してくる。


話疲れたら、ちょっと血くれ、と微妙に血を吸って私に抱き着きながら眠ったりする。


ちょっとダメな妹みたいだ。





キョウとリョクに関しては、あれから関係がより親密になった感じがする。


微妙に探り合う二人の距離感が尊いと、私達グループの間では有名な話だ。


キョウは色々思う所があったらしく、慈十家の仕事を積極的に手伝っているらしい。


当主を目指しているらしく、歴代最強の当主になって、古い体質を変え過去最強の慈十家を作りたいらしい。


天の扉の存在達のような上位存在と交流したりして、世界の深層を探ったりもしてるらしい。




リョクはそんなキョウを、太陽から祝福されたお嬢様のように、天真爛漫に優しく見守ってる。


彼女は、庭を手入れしたり、料理の勉強をしたりもし、みんなを招いて色々振舞ったりもしてくれる。


意外にも、女神ゾアリアと気が合ったらしく、一緒にお菓子作りをしたりもしてるんだとか。


キョウと週末にバイクに乗って、色んな場所に二人で出掛けるのが楽しくて、今はそれだけで十分幸せだと無邪気に笑っていた。




リリスとゾアリアは、お城で超幸せな毎日を過ごしている。


私とヒノは、あの大聖堂まで、偶に遊びに行くのだけれど、いつ見ても、アーテマを含めた三人でコントのようなやりとりをして、楽しそうに笑っている。


そう言えば、リリスとゾアリア、私とヒノは、四人とも自分達が前世や来世と言う事は普通に知っている。


それでも、友達みたいに接せるから不思議な感じだ。


リリスとゾアリアも新しい目標が出来たらしく、極彩色の世界を旅行して、色んな場所で問題を解決をしたり楽しく過ごしながら、自分達の答えを探して行きたいらしい。





つまりはそんな感じで、相変わらずみんな元気で、それぞれ新しい道を踏み出しているのだ。


一つだけ確かなのは、きっと私は、数奇な運命で巡り合えたこの仲間達と、末永く友達でいるだろう。





ヒノについては……語る事があり過ぎて、ここでは話しきれないから、みんなの想像に任せる。


私の物語を知っているみんなならきっと想像しただけで笑えるはずだ。






廃マンション屋上――




私がまだ一人だった頃に、よく来ていた廃マンションの屋上で、私は、今までの事や、仲間達の事を考えていた。


確か、このマンションの近くの公園で、依頼を受けた事もあったなぁーとか考えながら。


懐かしくも感じるけど、そんなに凄く昔な訳でもない。




あの頃の私は、こんなにも色んな事が起きるなんて想像もしなかっただろうな。


そう考えると、人生って本当に不思議だ。


全く、本当に……




どんどん変化していく世界の中で、私は善い未来に辿り着けたと思う。


過去の自分にも、仲間にも、世界にも感謝している。




答えを探し続ける事、何かを求め続ける事は、実はもうあまりやめている。


私は、今を十分に満足して生きている。


私の中で、何かを渇望している心の声はもう聞こえない。




ふと、風が立ち、帝王のような気配が私を包んだ。




私は振り向かず言った。


「私、結構強いよ?」




その気配の主は言った。


「知ってるわ」




私は返す。


「じゃあ、どうするのさ?」




その気配の主は、クスっと笑った。




私は、我慢できず振り向いた。




「ダーリン行こ」




ヒノの目には、大人になった私が映っていた。





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