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魔王は仲直りする。
俺はある場所から戻ってきた。
今の空は夕方と夜の狭間、黄昏時だ。
俺は自分の、宿に向かう足が若干速いことに気づく。
やはり嫌われたくないのだろう。
宿に戻るとプロミネはもう戻っていた。
「ヴェ、ヴェセル、さっきは申し訳ない。」
急に謝られた。
俺のことを嫌いなわけじゃないのか?
「プロミネ、俺が嫌いか。」
「べ、別にそんなわけじゃあないよ。あたしが....ただ....恥ずかしいだけ....だよ。」
「そうか。」
嫌われてはいないらしい。
よかった。
本当にそう思う。
でもプロミネが人見知りするような人には見えないのだが...
まあ掘り下げるのはやめておこう。
とりあえずここは、
「俺も嫌いではない。」
「そ、そうかい...」
何か中途半端な会話だが、いいだろう。
意思は伝わっているはずだ。
俺はある場所で貰ったもの、石炭を渡す。
「プレゼント。」
「石炭...確かに火炎だから食えるけど、プレゼントじゃあないよ、これは。」
そう言いながらも受け取ってくれる。
そしてごりごり食べた。
「一応、ありがとうね。」
「ああ。」
そうしていると、クラルテも帰ってきた。




