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魔王は牛村を出る
牛村カルビの宿から出て、豊作の勇者に別れを言う。クラルテが。
「お世話になりましたー!」
「いいっていいって、気をつけなよー。」
「はーい!」
「魔王のほうもねー!」
「ああ。」
そうして、俺たちは牛村カルビを出発した。
クラルテが言う。
「いやあ!カルビ村はいいところでしたね!」
「ああ。」
「次はいよいよ、ダンジョン都市デインジャですねえ!」
「うむ。」
「ダンジョン都市と言うだけあって、ダンジョンが無数にあるらしいですよ!」
「そうか。」
「私はあまり戦えないんですけど、ヴェセル様はお強いですから、余裕ですね!」
「知らない。」
そんな会話はまだ続く。
「それは置いといて、今まで都市と都市の間の道で魔物に出会わないのって、私の魔眼シャンス・ウイユのおかげなんですよ!」
「そうなのか。」
「これが普通と思ったら、大間違いなんですよ!」
「ああ。」
クラルテの魔眼はすごいらしい。
俺の魔眼はどういうものなのか。
それが少し気になった。
ダンジョン都市デインジャへの道はまだ始まったばかりだ。




