魔王は火炎に襲われる
俺たちは牛村カルビを出て、ダンジョン都市デインジャに向かっている。
「すぐ横の湖、水が透き通っていて綺麗ですね。」
「ああ。」
そんな会話をしていると、前方に違和感を感じた。
これは豊作の勇者に似た違和感だ。
湖に向けていた目を前に向けると、赤い髪で、赤黒い角と尻尾の生えた女性がこちらに向かって歩いていた。
尻尾がびたんびたんと地面に打ち付けられていて、怒っているように感じる。
このままの進路だとすれ違い、通り過ぎるが、そうはいかないようだ。
「おい、あんた魔王だろ。」
「ああ。」
「あたしは火炎の魔王。あんたはなに?」
急に質問された。しかし俺は自分のことに詳しくない。
「わからない。」
「はあ?生まれた時に教えられるだろ?なんで知らないのさ!」
そういうものなのか。できれば知りたかった。
しかし、魔王と勇者に会うたびこんな会話をしなければならないのだろうか?
魔王と勇者はたくさんいると聞いている。
「わからない。」
「さっきから「わからない」ばっかり!あたしが戦いで属性を引き出すよ!」
そう言うと、こちらに向かって赤い玉を放ってきた。魔法だろう。
どふん
俺に当たると、玉から炎が出て消えた。全く熱くない。
「効いてない?!なんでさ!」
相手はかなり慌てている。いや、怒ってもいる。
次の瞬間、広範囲に火の波が来た。
クラルテにも当たってしまう。
そう思った時にはもう遅かった。
ばふー
火の波が来た。
俺はなんともないがクラルテは!
「きゃあ!...あっ、あれ?熱くない、です…」
何故か無事だった。
「なんで効かないんだよ!」
相手は怒り狂ってクラルテにも当てたのだろうか。
俺はクラルテに当てたことに対して、熱い感情が湧き出る。
なんだ...これは......怒りか.....?
俺は怒っているのか?
何故か俺はクラルテに対して感情が起こりやすいようだ。
俺の頭と背中にいつの間にか角と翼が生えている。
相手が魔法を使う。
「これは防げないだろう?」
相手は火をどんどん圧縮をして、それを何度も繰り返す。
できたのは、最初に放ってきた炎の玉と大きさは一緒だが、白くて威力はまるで違うのがわかる。
そうして、その玉を今までの魔法よりも早い速度で俺に投げてきた。




