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魔王は既視感を感じる
俺たちいま牛村 カルビが見えるところまで来ている。
「もう村が見えてきましたね!早くお肉が食べたいです!」
「ああ。」
そういえば、クラルテの大好物は肉だと自分で言っていた。
俺たちが村に入る寸前、牛が俺達の横を通って出かけていった。
散歩だろうか。
牛を1匹で散歩だなんて本にも載っていない。
「牛が逃げた。誰か捕まえてくれ!」
牛は逃げ出していたらしい。
俺は魔法を使おうと、力を集める。
「捕まえる」という意思を込めて力を放つ。
ぱすっ
しかし魔法は発動しない。
俺が走って追いかけようとした、その時、横を茶色い影が通った。
よーく見るとそれは茶色い髪で茶色の服を着た女性だった。
なにかその女性に既視感のようなものを感じる。
その女性はあっという間に、牛を捕まえ、縄で引いて村に帰ってきた。
すれ違いざまに、こう言った。
「こんにちは、少女と魔王。」
話したこともないのに魔王と言われた。
あの違和感を感じる女性は何者だろう?
そう思いながら俺たちは村に入る。




