魔王は出る
俺は閃いた。
俺には魔法がある。それを使えばいい。
俺は体の奥の力を意識する。
そして「道を知る」という意思を込め、放つ。
?
いつもと感じが違う。
俺の思ったように作用しない?
魔法は意志を持ったかのようにうねりながら女の身体にあたった。
女は一瞬ビクンと痙攣し、俺に言った。
「先程は申し訳ありません。わたくしが御案内致します。」
?
さっきとなにか雰囲気が違う。物語によく書いてある、頭を強く打った人のようだ。
でも案内してくれるならば助かる。
俺は素直について行き、階段を上がった。
眩しい。窓からは草の生えた地面が見える。やはり先程まで地下にいたのだ。
女についていき、やはりここがサディス城の中だと知る。
階段を下る。
俺はサディス城の隠し通路から運ばれたらしく、その通路を、今は逆走している。
そして通路の外に出ると、建物の中だった。
建物を出るとそこはさっきまでいたスラムだ。
「お送りはここまでに致します。どうかお気をつけて。」
女はそのまま、通ってきた道へ姿を消した。
俺はクラルテに会うべく、スラムから、城下町の栄えていている大通りに出る。
そしてそこで、ちょうどクラルテと会う。




