魔王は戦う?
外に何かいる。
俺はクラルテたちが寝ている時に、そう感じた。
そして、外に出るとそいつはいた。
巨大なムカデ。
横幅で4メートル、長さはわからない。
色は紫で毒々しい光沢がある。
それよりも俺が感じているのは、あの感じ。
勇者や魔王に感じる既視感。
勇者の方だ。
それをムカデから感じる。
こいつは魔物の勇者。
俺らの敵だ。
そいつは俺に気づいたのか、こちらにすごい勢いでやってくる。
家屋を破壊しながら突進してきた。
ばちんっ
当たったら吹き飛ばされそうなので、ビンタ、所謂平手打ちを食らわす。
反射的にしてしまった。
どごご
ムカデは真横に吹き飛び、家屋をなぎ倒す。
俺が家を壊したのではない。
ムカデの勇者が悪いのだ。
そんなことを考えていると、ムカデがまたこっちにやってきた。
平手打ち、家が壊れる。
同時に悲鳴も聞こえる。
このムカデは悪いやつだ。
家を壊し、人に怪我をさせるなんて。
俺は魔法を使う。
こいつを倒すという意思を込めて。
しかしまた違和感を感じた。
魔法が放たれる。
それがムカデに当たると、ムカデはガテツからのそのそと出て行った。
俺の属性は謎だらけだ。
違和感を感じるときは、必ずと言っていいほど、考えているイメージと違うことが起きる。
俺は考えることを放棄し、宿に戻り本を読む。