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不死身ちゃんとユリ世界。  作者: 愛犬元気。
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十九話



しばらく電車で移動した後、2人は今日の目的であるプールがあるホテルへと着いた。


「凄いね。こんな所絶対来れないよ。彼女もよくチケットくれたよね。」


「私もそう思います。」


桃子とミシルはさきゅばすに感謝した。


2人は見上げるのも疲れるくらいの大きなビルの前に立っている。


入るのを躊躇(ちゅうちょ)してしまうような、その外観の高級感に2人は圧倒されていた。


「すごいね…私とは絶対縁の無い場所だよ。」


桃子はそう言って、周りを見渡す。


みれば高級車が何台か停まっていて、セレブの人間たちが乗り降りしている。



「行こう。ミシルちゃん。」


「はい…。」


桃子の一声にミシルは頷いた。



受付でチケットを渡すと、綺麗すぎるお姉さんは丁寧に行き方を教えてくれた。



「24階だって。」


桃子は辺りを見渡す。乗り込んだ高級なエレベーターはあっという間に1階から24階まで上昇した。




「確か、こっち。」


桃子はミシルの手を引っ張り、真っ直ぐ進む。



すると、奥に更衣室が見えて来て、2人は女性側に入る。


「結構人来てるね。」


桃子はロッカーの空きを探し、両隣どちらも空いてる所に目をつけた。


「うん…。」


「これ。ミシルちゃんの所の鍵。」


「ありがとうございます。」


ミシルは桃子の隣のロッカーに荷物を入れた。


「…。」


だがミシルは着替えようとはせずもじもじとしていた。


「どうしたの?」


「あの、その…先プールに行っていて下さい!」


「え?あ!」


ミシルはなぜかその場から逃げてしまった。


取り残された桃子は首を傾げつつ、持って来た水着をバッグから取り出した。



更衣室前、ミシルは胸をおさえていた。



「うう。無理…。」


さっきから胸が熱い。

核が熱く、大きく揺れている。


「私本当にスケベになったのかも…。」



彼女が脱ぐと思うと、胸が揺れ動く。


こんな姿、彼女に見られたら嫌われてしまう。





それから十分。

ミシルは落ち着くと、更衣室に向かった。



「…。」


そろっと顔を出すと、桃子はもういなかった。

どうやら先に泳いでいるらしい。


落ち着いて戻った彼女は、1人水着に着替えた。

例の真っ白の水着だ。


「…。」



ミシルは更衣室を出て、またヒョコッと壁から顔を出しプールに向かう。


「わあ…。」


ミシルはその中の光景に驚いた。



室内なのに、ヤシの木が植わっていて、まるで優雅な南国のようだ。少し薄暗く、ライトがプールを照らしていて、上等な雰囲気を醸し出している。


老若男女がそれぞれ楽しそうに遊び、泳ぎこの場を満喫している。


「ミシルちゃん!」


「!」


ミシルが声の方に目線をやると、プールの中の桃子が手を振っていた。


ミシルが近づくと、桃子はプールサイドから上がった。



青い蛍光色の水着を着た桃子は、今日会った時とのギャップを完璧に作り上げていた。


勿論良い方のギャップだ。

この人は男でも女でも違和感なくこなせる人。

かっこよくもあり、美しい。


綺麗な足はさきゅばすの言う通りだと思った。


「…。」


「どうしたの?」



「いえ…。」


ミシルはなるべく目線を外して煩悩を振り払うことに徹した。


「可愛い水着だね。ミシルちゃんらしくていいよ。」


「ありがとうございます。桃子さんも、とても可愛いです。」


「これ、大分前のなんだけどね。泳ごうよ。ロボットは泳げるよね?」


「防水なんですけど、私泳ぐ機能が無くて。」


「え?そうなの?」


「はい。だからどうしていいかわからなくて。誘ったのにすみません。」


「いや、別に泳げなくても大丈夫。私でも足はちゃんと着くから。」


と、笑いながらミシルの手を引っ張り、プールに入水する。



桃子の指導の元、ミシルは泳ぐ練習をする事になった。


「ロボットが泳げないと大変じゃない?溺れたらそのまま沈んじゃうでしょ。」


「かもしれないです。」


「機能は無くても今から覚える事は出来るでしょ?」


「桃子さんは泳げるんですか?」


「泳ぐのは好きなんだ。ミシルちゃんには水に沈んで欲しくないからクロール教えるよ。」


桃子はそこからクロールを彼女に教え始めた。



「そうそう!ロボットは覚えが早いね。」


桃子は終始楽しそうに彼女の指導にあたっていた。


「いいな。ロボットだから息継ぎしないから羨ましい。」


「…。」


「ミシルちゃん?」


楽しくプールで遊んでいた矢先、ミシルの動きが突然止まった。


プールで棒立ち状態になった彼女は、俯いたまま停止してしまった。



「どうしよう。変な所に水が入ったのかな。」


と、桃子が彼女の顔を覗いた時だった。



「わ!?」


桃子の体が水の中で少し浮いた。

ミシルは突然目の前の桃子を抱きしめた。


それもキツイほどに少し痛い程に締め付けてくる。


「ミシルちゃん?」


「桃子好き。」


「え?」


と、桃子が驚いた瞬間ミシルは彼女の唇にキスをした。


「!」


桃子は驚いて離れようとしたが、力が強く逃げられない。


その長い抱擁とキスは1分弱も使った。


そろそろ周りの視線も痛くなる。



「はあ…はあ…どうしたのミシルちゃん。」


やっと息が満足にできるようになった桃子は、ミシルから離れた。


「破壊。さきゅばす。」


「え?」


「全てを破壊。さきゅばす。破壊。破壊。」


ミシルは壊れかけのCDのように連呼をした。


そしてそれを言った後、彼女はようやく意識を取り戻した。


「はっ…。あれ…私。」


「…。」


桃子はまだ驚いた顔でミシルを見ていた。


「私何か失礼な事しましたか?」


「ううん。もうそろそろ出ようか。」


「あ、はい。」


急によそよそしくなった桃子は、ミシルよりも先に出て行ってしまった。


繊細なロボットは、その行動に記憶がなくなった部分に何かしてしまったんだとすぐに把握した。


「どうしよう…私何したんだろう。」


ミシルは頭を抱えた。




「…まさか。」


先に更衣室に戻った桃子は、胸を押さえていた。


先ほどのキスの感触を思い出すように、彼女は自分の唇を触る。




「私、ミシルちゃんの事…。」


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