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『オーロラ・ジェニファー・グッドフェロー』


ソードノーズ王国の名門グッドフェロー公爵家の長女として生まれた彼女は、公爵家特有の真っ赤な髪に金色に光る瞳を持ち、肌は抜けるように白く、少しきつめの大変美しい顔だちをしていた。

彼女は厳しい教育に耐え抜き、晴れて王太子妃となった。

そこからは薔薇色の人生が始まるはずだった。


だが、オーロラは王太子妃となって間もなく自分が闇魔術を使えるということに気づく。


王宮で王妃主催のお茶会の祭、出されたお菓子に(からす)が群がり、叫び声が上がる中、鴉たちがドタバタと倒れて行った。

動かなくなった鴉たちの目の前にいたのはオーロラだった。


その時の王宮侍女たちの恐怖に満ちた顔が忘れられない。


自分は何もしていない。

ただ、鴉が大量に飛んできた時、「怖い!どこかに行って!」と心の奥で思っただけに過ぎない。

だが、明らかに鴉たちは自分から発せられた魔力で倒れたのだ。

動かなくなった鴉の黒い山がまた余計に不気味さを増長させてしまった。


この世界には魔力を有する者が千人にひとりほどの割合でいると言われており、偶然にもこのお茶会の招待客の中に魔力持ちがいたらしい。

魔力には色があり「赤は火」「青は水」などと決まっている。それぞれが有する魔力を動かすと、その色が魔力持ちには見えるのだ。

鴉が倒れた時明らかにオーロラから黒の魔力が発せられていた。

それはオーロラにも見えた。


オーロラは絶望した。

まさか自分が闇魔術の使い手だなんて……。


オーロラ妃殿下が闇魔術の使い手だという噂は瞬く間に広がった。


そしてオーロラは王宮で孤立していく。

実家の父からも見放され、王宮の侍女たちですら近づかなくなった。


「ノエル嬢が、俺の病を治してくれそうなんだ」


そんな時結婚当初からよそよそしく冷たかった王太子が冷たく告げた。

確かに夫の灰色の髪は最近艶が出てきていたし、こけていた頬もふっくらとしているように見える。

小さい頃から病気がちだった夫を元気にできる癒しの力を持つ女性。

それから夫はノエルと過ごすことが多くなった。

オーロラはどんどん孤独になっていった。


オーロラは王宮を出ることを決意し、妹のエンジェルに頼んで出奔の手伝いをしてもらった。そしてそのまま手配してくれた護衛騎士に言われて北に逃げた。


その後、妊娠していることに気づいたオーロラはひとりで男の子を産み、イヴァンと名付け、一緒に細々と暮らし始めた。

母の故郷で、幼馴染だった医師の手伝いをしながら。

その医師が教えてくれたのだ。

実は闇魔術も病を治せるのだと。


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