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「やはり黒幕はユリア王妃とグラント王子のようですね」


次回の訪問時、ミシェルがたくさんの証拠を発見していた。


「殿下がおっしゃったオズワルド公爵家の使用人を調べてみましたがこの街へ出入りしています。アジトも見つけました」


地図を広げる。



「ここがうちです。それでここが奴隷のオークション会場」


指をさしながら説明する。


「そしてこちらがそのアジトです。王子も出入りしてますよ」


「何?」


「張っているときに妙な馬車が来たんでね。注視してたんですが、ずばりでしたよ」


「誠か」


「あれは変装のプロに頼んでますね。魔道具で髪色や肌の色まで変えてました。けど馬車の従者が殿下がおっしゃった使用人だったのと、香りでわかりました」


世間には魔道具で人の姿を射影できる道具がある。それを使って全部調べる人物の射影はミシェルに渡してあった。そしてウォルターは先日グラント王子はめずらしい柑橘系の香りを好むとミシェルに説明していた。


「なるほど。ではほぼ確実だな。あとはどうやってしっぽをつかむかだ」


王子が違法である奴隷のオークションのオーナーだとは誰も思わないだろう。なんて怖いことを……。


「そうですね」


「オズワルド家も関係しているのでしょうか?」


「その可能性は高いな」


「それにしてもあの女性はいったい……」


「あの老婆だったという札の女だな」


「はい」


「何かわからないのか?ミシェル」


「あの女性についてはわかりませんね。あれ以来このあたりでも見かけなくなりました」


見かけなく?

もしかしてわたしたちの動向に気づいた?

いや、でもあの変装は完璧だった。

わたしも言葉を発していないし。


いったい誰なのだろう。

なぜかわからないがすごく気になるのだ。


「引き続き調べてくれ」


「はい」


「では、オーロラ。今度の夜会の練習でもしようか」


ウォルターがにこにこ笑っている。

最近はいつもこの話題だ。


冬になると王宮で大舞踏会が開催されるのだが、そこで正式に結婚の儀の日程を発表するらしい。

その日までにオーロラも晴れて十八歳となり、法律的にも結婚できる年齢になるのだ。


「楽しみだな。オーロラ」


「殿下」


最近では一緒にいすぎてこのままノエルは現れないのではないかとさえ思えてしまう。

だが、絶対に彼女は現れるだろう。

そんな気がする。


オーロラが回帰してこれだけいろんなことが変わっていようと、彼女はきっと現れる。

そして彼女が現れたらウォルターは間違いなくノエルを愛するのだ。

それはわたしへの幼馴染に対する感情とは全然違うものなのだ。


それを考えるとずきずきと胸が痛む。

だから今だけは楽しもうと思った。

このふたりだけの時間を。


少なくとも次の夜会はウォルターは自分だけのもののはずだ。


「わたしも楽しみにしております」


オーロラは素直に返事した。


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