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「魔力ってわかって?」


「ルヴィエに戻ってから調べたんだ。君のあの能力をね。かなり時間はかかった。だがわかったよ」


え?わかった?もしかしてばれたの?

黒の……闇の魔力のことが?

頭から血の気が引いて行った。


どうしよう。

黒の魔力ってばれた?

いや、ばれていた。


殿下にばれていた?

王宮を追放される。


オーロラは支離滅裂なことを考えていることに気づいていない。


「俺はルヴィエの王都に入った後もまだ免疫力が弱かったから何度かひどい風邪にかかった。そのとき君と同じ治療を受けたんだ。その医師が言った。かなり訓練しないとできない技術だって」


「では殿下はわたしが何の魔力を持っているかもうわかっておられるということですね」


涙が出そうになった。

これでウォルターに嫌われた。

もうそばにいられない。


「ああ。知ってる」


「ああ……では……もう婚約は」


「君の魔力がソードノーズでは忌み嫌われているということも知っている。だが、ルヴィエでは他の魔力と同じ扱いを受けている」


「え?」


「俺は君の魔力を嫌う理由がわからない。ましてや君はそれを人の命を救うために使っているじゃないか」


「ですが、黒は他の色を飲み込みますし、黒は生物を殺すもので……」


「他の色も黒も全部色には変わりない。君のは黒。それだけじゃないか。何がおかしいんだ」


「殿下……」


そんなことを言われたのは初めてだった。

前世でずっとどこに行っても嫌われた。キノックスで治療をしている時すら、ミシェルの後ろにいたからよかったが、全面にでて治療を施すことはできなかった。生物を殺す魔力を人々がわかってくれるはずはないと思った。だから今世では誰にもばれないようにした。

ばれるのが怖かった。

またひとりになってしまうから。


「俺はソードノーズにおける黒の魔力の扱いも変えていくつもりだ。君はまだ誰にもそのことを伝えていないようだが、絶対誰にでも胸を張って言える世の中にする」


「殿下。そこまで……」


ウォルターの碧い瞳に嘘はなかった。

だいたい嘘をつくような人ではないことは昔から知っている。

そういう人だから愛した。

それは前世も今世も同じだ。


「一緒に変えよう。オーロラ。君となら変えられると俺は思ってる」


「殿下……」


けれど、三年後に現れたノエルをあなたは愛してしまう。


胸の奥がまた痛んだ。


いつかこの人の瞳はもう自分を見てくれなくなるのだろうか。


まっすぐオーロラを見るその瞳を今だけはひとりじめしようとオーロラは思った。

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