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「殿下はすごいですね」


「え?」


「そんなに国のことを考えておられるなんて……尊敬します」


「何を言う。俺は君を尊敬するよ。平民として育った君がこんなに貴族女性としてすばらしく成長したんだ。並大抵の努力では無理だっただろう。あの頃からすばらしいとは思っていたけど再会してますます……」


そんなことはない。だって自分は人生二度目。出来て当たり前ではないか。

努力も何もない。


「それに……君は命の恩人だ」


「それは……」


「まぁ、あそこでオーロラがベラのパン屋に殿下を誘わなければ今頃どうなっていたかわからないだろうからな」


「そのとおりだ。感謝じゃ足りない」


「あの時は確かに助けたい一心でした。けれどわたしもまさかそんな大事とは思わなくて……」


「いや、うん」


そこでウォルターはじっとオーロラを見て、そして少ししてから言った。


「とにかくありがとう。それでオーロラにも手伝ってもらいたくてね」


「え?」


「この企みをさ」


「わたしにですか?」


「俺は【事業】だと思ってる。さっきも言ったけど国の膿を取り除きたいんだ。俺がこんなことをしているということを妃となるオーロラにも知っておいて欲しかったし、一緒に出来たらと思って打ち明けた」


信用はしてもらっているというわけね。


「わかりました。協力します」


ソードノーズを助けるためというのなら。

回帰した理由に直結するかもしれないし。


「よし、では決まったところで、ミシェル。今日の報告を頼む」


「はい。ユングの実がかなり出回っていますね。それと解毒剤をどこかで止めている輩がいる」


「なるほど」


ユングの実は前述もしたが、ソードノーズの東に位置するパルリム王国でとれる果実でその種子に毒がある。

解毒剤はユングの木の根だ。そっちを止めているというのはかなり大問題だ。ユングの毒を盛られた人への解毒ができなくなる。


「殿下はいまだにユングの実を盛られているということはないですよね?」


「そうだな。たぶんないと思う。ルヴィエからこっちに戻ってからかなり注意しているし、毒見係も数人置いている。身体に不調は感じないしな」


「殿下は今毒を盛られてはいらっしゃいませんわ」


「え?」


「え?あ……と」


思わず言ってしまった。肌に触れればわかるので、毎週食事のエスコート時に素手で触れた際、きちんと確認している。再会してからの殿下は毎回元気そのもの。不調はまったくない。


「だって、こんなに元気はつらつとされているもの」


「まぁそうだな。子どものときも見破ったくらいだし、オーロラの殿下を見る目は確かなんだろうからな」


ほっとする。危ないところだった。

それにしてもユングの実の解毒剤だけ止めている。となると誰かに盛ろうとしてると考えられる。


誰に盛ろうとしているのか。

前世を思い出してみるも、もうかなり前世とは変わってきており、起きることが前世と同じとは限らない。

ミシェルもこんなところにいるくらいだし。


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