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すごい。本当に回復しているのだわ。


よかった。


そんな喜びの感情の中、胸の奥に痛みがあることもオーロラは知っている。


自分には決して向けてくれたことのない笑顔。

夫であった二年間いつも苦しい表情しか向けてくれたことはない。


喜びの中に嫉妬の混じる混乱した感情がオーロラを支配する。


だが、喜びのほうが勝った。


この国のためにも自分はやはり去るべきなのだ。

きっと殿下は大丈夫。ノエル嬢と幸せになってこの国を立派に統治されるだろう。


(ウォルター殿下、愛していました。ノエル嬢とお幸せに……)


最後に目に焼き付けるようにウォルターの幸せそうな姿を見て、心の中で手向けの言葉を祈りのようにささげるとオーロラはそのまま王太子の部屋を出て自分の部屋、すなわち王太子妃の部屋との間にある綺麗なデイジー畑をそぞろ歩く。

ここを歩くのも最後。

真っ赤なデイジーが咲き誇るこの庭で一度だけウォルター殿下がデイジーの一輪の花を下さったことがあった。王宮へ王太子妃として入った二年前。

『ごめんね。こんな僕のところに嫁いできてくれて嬉しいよ』

と言って……。

その花は今も押し花にしてしおりとして使っている。


そのまま日が暮れるまでデイジー畑をそぞろ歩くと王太子妃の部屋へと戻り、侍女たちに体調が悪いので朝まで眠るから部屋を開けないようにと言い置いてひそかに準備しておいたトランクを手に取った。

出るなら今だ。もうあたりは暗い。闇の魔術を扱える自分であれば闇に溶け込むのは朝飯前だ。

オーロラは最後にデイジーのしおりがトランクに入っていることだけ確認し、窓からそっと外に出た。


「さようなら。ウォルター殿下。どうかお幸せに」


その夜、ソードノーズ王国 王太子妃『オーロラ・ジェニファー・ソードノーズ』は王宮から忽然と姿を消した。


まるで最初からいなかったかのように……。

お読みいただきありがとうございます。

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