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第二話 脱出と拘束

階段を上がった先は再び廊下に繋がっていた。しかし、先ほどとは違い、窓や複数の部屋がいくつかあるように見えた。どうやらここは地下室だったようで、窓から外の景色をのぞくとそこには森林が広がっていた。


「おい、侵入者だ!」


テロリストが叫び、俺に向かって銃を構えた。しかし、敵が発砲する前に相手の胸に銃弾を叩き込む。


「美月、ここから走るぞ!」


撃たれもがき苦しむテロリストの頭に撃ち込みながら、俺は叫んだ。「窓から外へ出るんだ!」


外に出ると、二人は森の中を走り続けた。頭には次々と疑問が浮かんだが、今は安全な場所にたどり着くことが最優先だった。


「一体ここはどこなんだ?植生からして日本ではあるようだが……」


森の中を進むこと数十分、ようやく美月と俺は小さな民家がいくつかある人里にたどり着いた。その瞬間、背後から大きな音が響き渡った。


「何だ?」


振り返ると、そこには巨大な生物が立ち塞がっていた。石でできたその巨体は、圧倒的な存在感を放っている。


「な、なんだ、こいつは……!」


心臓が一瞬凍りついた。現実離れした存在に対する驚きと恐怖が俺を襲った。


「ゴーレムよ!」


美月が叫んだ。


「さっきの奴らが召喚したのよ!」


「ゴーレム……?こんなものが存在するなんて……!」


驚愕しながらも、冷静を取り戻そうとした。


「くそ、どうやって戦えば……」


ゴーレムは咆哮を上げ、俺たちに向かって突進してきた。冷静に銃を構え、狙いを定めて発砲した。しかし、弾丸はゴーレムの石の表面に跳ね返り、効果がなかった。


「なんて固さだ、普通の石でできていないな……!」


「斉藤さん、ゴーレムの体には普通の弾じゃ効かないわ!」


美月が叫んだ。


「じゃあどうすればいいんだ?」


「ゴーレムの弱点は、胸のコア部分よ。そこを狙って!」


「コア……?了解!」


美月の指示に従い、ゴーレムの胸のあたりを狙った。しかし、ゴーレムの腕がコアを守るように邪魔をして狙いを定めるのが難しかった。


「斉藤さん、私が魔法で動きを止めるわ。その間にコアを撃って!」


「魔法……?まさか……」


美月は後方で呪文を唱え始めた。彼女の手から放たれた光のムチがゴーレムの体に絡まり、その動きが一瞬鈍くなった。


「な、なんだ……今のは……?」


驚愕と恐怖が入り混じった感情が胸に広がった。魔法など現実ではありえないと思っていたからだ。


「斉藤さん、今のうちです!」


「了解!」


ライフルを構え、ゴーレムのコアを狙った。正確な射撃で弾丸を放つと、コアに直撃した。ゴーレムは苦しげに咆哮を上げ、その巨体が揺れた。しかし、コアにはまだ完全には止まらなかった。


「くそ、もう一発だ!」


もう一度狙いを定め、引き金を引いた。その瞬間、ゴーレムの動きが完全に止まり、地面に崩れ落ちた。


「やったか……?」


あっ、これ言っちゃダメなやつだった。


沈黙したように見えたゴーレムが突如動き出し、こちらへ突撃してくる。俺はゴーレムに小銃を連射するが、意味はなかった。


「伏せろ!」


威厳のある声が響いた瞬間、俺は反射的に美月と共に地面に伏せた。次の瞬間、空中に輝く魔法陣が現れ、高貫通魔法が発動した。魔法陣から放たれる光の矢はゴーレムの石の体を貫き、直撃するたびに爆発的な音を響かせた。


「なんだ……?」


状況を把握しようとしたが、混乱が増すばかりだった。


武装した一団が森の中から現れ、統率の取れた動きでゴーレムに向かって魔弾や攻撃魔法を発射し始めた。地面には魔法陣が次々と描かれ、それぞれの陣から強力な魔法が放たれる。


「コアを完全破壊する!全員、高貫通魔法を使え!」


一団のリーダーが指示を飛ばし、隊員たちはさらに高貫通魔法を集中させた。魔法陣が輝きを増し、強力なエネルギーがゴーレムに注ぎ込まれる。


ゴーレムのコアが砕け散り、その巨体がついに崩れ始めた。最初は小さなひび割れが走り、それが次第に全身に広がった。巨大な石の塊が一つ一つ剥がれ落ち、轟音と共に地面に崩れ落ちる。


ゴーレムは重々しく後退し、その巨体が支えきれなくなった瞬間、大地が震えるほどの音を立てて倒れ込んだ。ゴーレムは完全に動きを止め、ただの巨大な瓦礫の山と化していた。


「今度こそ、終わったか……」


その瞬間、隊員たちが素早く動き、美月を保護した。俺もすぐに銃を突きつけられながら武装解除を命じられ、拘束された。


「え、ちょっと待ってくれ、俺も奴らに誘拐されてた民間人だ!」


必死に説明しようとしたが、隊員たちは冷静に対応し続けた。


「この少女は我々の保護対象だ。君が何者なのか一時拘束し、調べさせてもらう。」


リーダーらしき目出し帽を被った男が説明した。


「わかった……協力する」


俺は諦めて従った。

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