表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あまりに使えないんで守護霊をチェンジしてもらっていいですか。  作者: 鳩野高嗣
第六章 アイドルオーラ
18/44

アイドルオーラ【Aパート】

この作品は『時代に取り残された』と感じている全ての方々に捧げます。

「えっ、明日の昼間ですか?」


 健悟(けんご)は思い掛けない仕事の依頼に思わず()き返した。


「大型の免許持ってるのは飯綱(いづな)さんだけなんですよ。

 池袋のイベント会場まで大道具や長机なんかの荷物を運んでほしいんです。」


 頼んできたのはプロップの企画班の藤瓦(ふじがわら)だ。


「でも、昼間っていうと泊まり込みになりますし‥‥バイト代も出ないんですよね?」


 さすがの健悟も難色を示す。


「そこを何とか。」


 拝み倒すかのように両手を合わせる藤瓦。


「あの、2(トン)車なら普免でも乗れますし、俺でなくても別に。」


(みんな)、大きなのを運転するの尻ごみしちゃって‥‥。」


 気持ちはわかる。


「レンタカーの手続きは済んでますし、荷積みは作画スタッフも含めて手伝ってもらいます。

 なので、後は運転だけなんです。」


「‥‥わかりました。」


 結局、健悟が折れた。

 ここまで誘導尋問的に道が塞がれていたら断れない。


「ありがとうございます。」


「それで、その練馬(ねりま)のローカルアイドル・プロジェクトの塩梅(あんばい)はいかがですか?」


「『大泉学園高等部』は今回が初のイベントなんで、まだ何とも。」


 藤瓦は苦虫を潰したような笑いを浮かべながら答えた。

 察するに、あまり(かんば)しくない状況なのだろう。


 事の発端は社長の荻原(おぎわら)の思い付きからだったらしい。

 元々、荻原の娘が人気アイドルグループ、C―oute(コート)に所属していた事で、アイドルビジネス=儲かるという図式が彼の頭の中で出来上がっていた。

 中国便スタッフが単価十円、二十円の儲けを必死に出している裏では、このような超浪費型のサイドビジネスが展開していたのが、健悟にとっての『悪縁』となった理由だろう。


 ● ● ●


 翌日、健悟は練馬駅から程なくあるレンタカー業者から借りた2(トン)車でプロップの駐車場まで乗り込む。

 そして社内総出でローカルアイドルの公演用の大道具、小道具、長机や椅子などを詰め込んだ。


 荷積みが済んだ後、助手席にはナビ役として藤瓦が乗り、真雨は後部座席に乗った。



「大泉学園高等部‥‥でしたっけ?

 練馬区のローカルアイドルの初公演が何で豊島(としま)区の池袋なんです?」


 運転しながら健悟が藤瓦に(たず)ねた。


「社長の一存です。

 始めはこんな大掛かりにするつもりじゃなかったんですよ。

 でも、最初のインパクトが大事だと主張されて‥‥。」


 一種、山師(やまし)的な思い付きでプロップを大きくしてきた荻原らしい発想だ。


「ああ、これ、パンフなんですけど、一部どうぞ。」


「ありがとうございます。」


 健悟は藤瓦から受け取った公演用のパンフレットをドアポケットに入れた。


 ● ● ●


「ああ、あそこです。」


 藤瓦が講演会場となる建物、シアターマリーンを指さした。


「えっ、こんないい会場なんですか? 入りの方は大丈夫ですか?」


「はあ‥‥実はチケットがあまり(さば)けていなくて‥‥。

 明日の公演も仕事に余裕のある社員をサクラとして呼んでるくらいなんですよ。」


 バツの悪そうな藤瓦の声を聞き、健悟は一抹の不安を感じた。

 そしてセンターミラーで真雨を見る。


「‥‥‥‥。」


 真雨は良縁とも悪縁ともつかない真剣な顔つきで建物を見つめていた。


 ● ● ●


 荷下ろしは企画部の人員とバイトで雇ったと思われる人たち、それに初公演を控えたローカルアイドルたちで(おこな)われた。


「この中からスターになる子が出るのかなぁ?」


 健悟は車外で大きく伸びをしながら、さり気なく真雨に話し掛けた。


「‥‥どれもこれもパッとしねぇが、一人だけ突出したスターの風格を持っている()がいるな。」


「えっ、どの()?」


「ほら、あの茶髪のポニテの()だ。」


 真雨が指さした()を見た健悟は、すぐさまドアを開け、パンフレットで名前を調べる。


高見(たかみ)ケイ、か。」


 写真ではオーラを全くと言っていいほど感じないが、本人はスターの原石と言うべきオーラを放っていた。

感想、評価、ブクマを付けてくださっている方々、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ