メノウ
エルフ......それは、自然と共に生き、共に朽ちてゆく者たち。
一族よりは少し多いくらいの人数で集落を形成している。
他種族への偏見が強く、エルフこそが至高の存在という考え方が、強く、深く根付いていた。
私は、そんなエルフの集落で、他種族の王のような位置におかれる“ハイエルフ”として生まれ育った。
自尊心が極めて高いエルフたちに、崇め奉られて育てられるハイエルフ。
周りのハイエルフたちは、傲慢で排他的だった。
そんな中、私は己の在り方に疑問を持っていた。
きっかけはなんだったのか......
集落には、“変人”と呼ばれる老人が、異端とされる他種族の書物をも集め、異質視されていた。
そんな彼の蔵書を、幼い頃から幾つも読み漁り、エルフの排他的な文化に染まり切ることが無かったからだろう。
それから130年ほど......彼の蔵書を読み終わると、私は集落から逃げ出した。
今思うと当然のことだったように思う。
毎日、ゝ同じことの繰り返し。
他種族の豊かで忙しない暮らしを、知識だけとは言え知った私にとってそれは、退屈という言葉が陳腐に思えてしまうほど、飽きていた。
それからは、様々な種族の国を転々とした。
一つの国には100年も居なかったが、そこでの暮らしは、色褪せたエルフの国での日々が何だったのかと思うほど、濃く、深い日々だった。
ある国で、一目惚れをした。
ドワーフの血を引いていることを理由に、王族にも関わらず、忌み嫌われていた少女に。
私は初めて必死になった。
これまで培った知識を活用して、功績を上げ、王家筆頭魔法使いの座をもぎ取った。
エルフであることなど問題にならないくらいの功績を立て、褒美に彼女を妻とすることを願った。
それから数十年。
のんびりと愛を育んだ私たちは、愛しい娘を授かった。
妻に似た美しい命を育む大地の色をした髪に、私譲りの自然の翠色をした瞳。
文字通り目に入れても痛くないほどに可愛い娘だった。
だから、決して許しはしない。
決して諦めることなどしない。
この長い寿命のすべてをかけてでも、妻と娘を取り戻す。
ーーたとえ、ナニを犠牲にしてでも




