《量子兵器VS量子神器 後編》
いろんな作品見てきましたが台詞の前にキャラ名付けるのってナシなんですね・・・・今更すぎるか。
《#27量子兵器VS量子神器 後編》
突如繰り出された鈍い光を放つソレ。
それが“刃物”だったと認識するには余りに容易く、またそんな物騒なものを日中突きつける人間などそういない。だからこそ俺には所持者がどういった存在でなんの意図があって攻撃してきたのか即座に理解すると横で惚けていた連雀の肩を掴んで自分の方へ抱き寄せ、首にかかる白桜に意識を集中させた。
どうやらまだ残っていた短冊への馳せる思いが普通の人間よりも優れている筈の(一応)使徒である彼女の反応を鈍らせていたようで俺の胸元で「え?え?」と困惑している。浮かれるのは構わんがその最中に死んだら元も子もないぞ。
一瞬の間を置いて周囲に白く、輝く粒子を嵐の如く展開させた白桜はそれを収束させて神器を形成する。
地下では初めてというのもあって発進には失敗したが神器の使用はもう何度も経験しているのでこちらは苦労することなく・・・・いや、むしろ最初の頃よりは圧倒的に早くなっているだろう。僅か2秒ほどで体に神器を纏わせた俺は連雀を少々手荒く抱っこし、同時に白桜へ後退指示を送った。
本来であれば左右に存在する操縦レバーの操作を行う訳だが地下で聞いた通り「フレームハート」と呼ばれるサポートが起動してるのなら――
「ぐっ・・・!」
後方への急激な加速感が俺を襲い咄嗟に腕の中の彼女を強く抱きしめると、浮くことで歩行の必要がない脚部は足裏を敵へと、加えてバックユニットたる1対のジェット翼が推進部を普段使用するのとは真逆の前方へと向けており恐らく白桜の持つ推進機能の殆どが後退に用いられた。
念のためエネルギーシールドを発生させていたがどうやら正常に作動したようで白桜は急速後退によって一気に距離を離しその後10メートルほどの間隔を開け、次に減速をかける為に背面下部・・・丁度動物でいう尾のように存在する大型のテールブースターで後ろへの速度を減退させる。
以前にもフレームハートによる遠隔操作はやってのけた事はあるとはいえ、流石に意図した操作は今回が初めてだった為下がるのも停止させるのも手加減できず、まるで悪路を走る車の中にいるのではないかと錯覚するほどの振動を機体から俺の体へ伝えた。そもそも前進ならまだしも視界に映るはずもない後ろなんて本当に頭のイメージでしか伝えられないのだからそれを完璧に行えってのは無理だと思うぞ。車じゃないけどバックミラーとか無いのかよ。
やがて機体はブレーキ代わりと言わんばかりにテールブースターを地面へ当てこする形で盛大に急停止する。といっても停止した、というより停止させた、と言った方が正しく最後は脚部を接地させて屈んだような姿勢で止まった。
「っ・・・これは結構キツい、な。多用するのは止めておこう・・・」
無理はよくないということを身を以て知る。
ようやく止まったものの一瞬で急加速急停止をかけたせいか?前方は衝撃とテールブースター、脚部ユニットによってえぐれたアスファルトと若干の粉塵が舞い散っており、俺自身も揺さぶられた感覚によって視界や思考回路が多少ボケていた。加えて言うなら初実戦による緊張で呼吸も荒い。
とりあえず奇襲はやりすごしたようだがその安堵もつかの間、俺は搭乗しているのが自分だけでないことを思い出して未だハッキリしない目を瞬きながら抱いている連雀へ視線を移す。
「おい連雀、大丈夫か!?」
「え・・・あ、はい、大丈夫・・・です」
突然の出来事に思考が追いついてきていないらしい。所謂お姫様抱っこの姿勢でポカーンと口を呆けて俺を見ているがそれ意外別段変わった所は無さそうだ。そういえばうめき声一つ上げていなかったな・・・・・やはり使徒というのは身体面でも人間を凌駕しているらしい。
しかし連雀は前方の状況と自分の置かれた状態を交互に見ている内に段々と理解し始め、それに伴って顔色を変えた。
「ご、ごめんなさいっ、私・・・っ」
バッと俺の腕から降りて目の前に立ちペコペコと頭を下げ始める。ついで後ろ髪を束ねてある青いリボンも激しく揺らめいていた。
「いや、無事ならいいんだが。っていうかお前を失う訳にもいかんだろ?」
契約者と主の立場から考えれば神器操手はその力の根源たる主を守るのは当然のことだ。
しかし実際どちらかが命を落とした場合神器はその権利をどうするのだろう?
『くるぞ!』
『警告、前方より本機へのロックを多数確認』
「っ!」
そんなことを考えている場合ではなかった。何をしているんだ俺は!
一瞬誰かの声が響いたかと思ったが気にすることなく白桜からのアラートによって普段の心持ちから再び戦闘への意識に切り替え、咄嗟に彼女を追い抜いてまだ粉塵が薄く立ち込める煙の前へ躍り出る。するとほぼ同時に前方から粉塵をその熱線でかき消してくる光の筋・・・ビームが真っ直ぐにこちらを捉えていた。が、事前に白桜から警告を受けていた俺は無闇にビビることなくそれを副腕を使って虫を払う動作で跳ね除けるようにして弾く。
もちろん機体のエネルギーシールドによるもので本来ならば機体を覆って全方位防御に使用するのだが、出力と力場の調整によって一部に集中させることも――
「・・・・・あれ?」
いや、そんなこと俺は知らない、知っている筈がない。なのに何故俺がそんなことを知っている・・・・?使ったこともない機能だぞ?
ふいに気分が悪くなってたった今弾いた副腕・・・そしてそれをトレースさせた自分の手をまじまじ見てみる。といっても当然のように答えはでない。出たら凄いか。
「・・・・後で確かめよう」
ともかく今は敵に集中する方が先だ。
まるで自分ではない誰かが自分を知っているような気色悪さを少し・・・いやかなり引きずりつつもあらためて前を見据えると今のビームによって粉塵は霧散したようで、そこには先程の3人が立っており一人はこちらに銃口を向けている。最も3人とも神器らしきもの・・・恐らく量子兵器であろう機械を纏っていたが。
「・・・・どうやらどちらも一撃加えることすら叶っていないようだ」
「やはり彼の意見は間違っているのではないか?金髪の天使を連れた白の神器マスターは初心者だから問題ないなどと・・・・一度本部に指示を煽った方がいいかと」
「だがここに潜り込むのも簡単ではなかったのだ。せめてデータだけでも回収しておこう」
小手だめし。そう聞こえなくもない感想を口々に語る彼らは俺と連雀のことなど気にも止めずに話を続けている。
仮にも攻撃しておいてスルーとは馬鹿にしてるだろ。拳を一度開いてギュッと強く握り視線すら合わせない3人へ叫んだ。
「使徒か!」
・・・・叫んだはいいが熱くなった俺は何を言っていいのか整理できずに浮かんだ言葉をそのままぶつけている。
使徒じゃなかったら何なんだよ。
一人でノリツッコミをしつつ後方を確認しておくと、そこには同じく戦闘意識へ切り替えたであろう珍しく真面目な顔つきで俺をみている連雀が立っている。しかし目的はそこではない。奇襲が1回であるとは限らないのだ。その為に死角となる後ろも一応確認した訳だがどうやらそれについては問題無かったらしく、視線を素早く左右へ巡らせても人影は見当たらず白桜のレーダーにもそれらしい熱源は特定されていない。
となると現状ではこの3人だけが相手だということだ。
だが当の3人は俺の叫びにも耳を貸すことなく未だ論争を続けているだけで仕掛けてくる気配は感じられない。恐らく実力的にも数的にも有利だから、ということだろう。
(1対3か・・・・・どう考えても不利だよな)
思わず生唾を飲み込んで乾いた唇を舌で潤す。
この前は1対2を繰り広げたのだ。数で言えば一人増えただけだから1対1から1対2への変化よりは遥かにマシだろう。しかしそれは単純に心持ちの問題であって総合戦力や戦術幅に大きな差がある事実を覆すほどのものではないし、何より戦争に限らずTVゲームでも誰もが味わったであろう“数の暴力”という点で俺を圧迫する。
3人では暴力という程の数ではないのは確かだが、それでも単機というのは圧倒的不利で・・・・だからこそ、俺の取るべき選択肢は一つに絞られる。
「連雀!・・・・って・・!?」
「マスター!」
彼らが戦闘体勢に入っていないのが一番の僥倖と思えた。
白桜を人間一人分ほどの高さに浮遊させレバーを引いて素早く身を翻して彼女の方へ近づいて手を伸ばすと連雀はまるで俺がそうするのを理解していたかのように同タイミングかもしくは俺が振り返るのと同時にこちらへ手を伸ばしている。
何故?
そう疑問が頭を巡るものの今は気にしていられる状況ではない。むしろさっきのように惚けていない分タイムラグが縮まって幾分か早く事を進められる。
上半身を乗り出すように精一杯伸ばされた手に対して機体をやや斜めに傾け副腕ではない生身の腕でしっかりとその手を握るとそのまま連雀を引っ張り上げて再び両手で抱く。
「皆のところ・・・ですね?」
「お、お前・・・何でそんなこと」
「今携帯で連絡をとってます」
今まで見たことのない・・・本当に俺の知っている連雀なのかと疑いたくなるほどテキパキと対応している。
確かに俺は今食堂で待機している篠崎達の方へ向かおうとしている。敵はあくまでも神器が望みなのだから無理にあの場で3機を相手にする必要などないし今なら篠崎と鈴・・・合計3機の神器で迎え撃つことが可能だ。そうすれば戦闘が長引くことなく被害を最小限に抑えられる。
最初は櫻井を呼ぼうかと思ったが多分まだ地下だから駆けつけるには時間がかかるし、気づかれて生徒会棟を攻撃されてはたまったものじゃない。
が、それは青波の校舎も同じことで、ここを無闇に破壊させる訳にはいかない。その為なるべく上空を取ってかつ2人と合流しやすい場所を――
刹那、食堂側から聞こえた爆発音と上がった煙によって俺は何故自分に背後から奇襲が無かったのかを理解した。
「篠崎達とこっちを同時に攻撃したのか・・・・!」
合流させない為に。
「マスター、後ろ!」
「っ!」
白桜が警告するよりも危険を感じ取った連雀が声高に叫び、俺もそれに伴って神器を反転させてエネルギーシールドで放たれたビームを防ぐ。
やはり・・・というべきか流石に神器が目当てとだけあって逃げたとあっては追う選択を取ったらしい3機が少し離れたところで白桜と同高度で浮遊している。ただしこちらを囲うように左右、正面という配置だが。
いくらエネルギーシールドや契約範囲に収まっているとはいえ連続で攻撃を受け続けたらバックアップよりも先にこちらのエネルギーが尽きてしまうだろう。
それに彼女を抱いたままではレバー操作は難しくフレームハートによる追従機能による操作のみで戦うことになる。
これでは神器が単機性能で量子兵器を優っていても意味がなく、むしろ主を抱えている分不利だ。
「どうした、女を守ったままでは戦えないというのか?」
「何を・・・!」
「所詮、神器とはいえ数の前では無力なものだ」
図星を刺されて呻く俺をあざ笑うかのようになじる敵は「次は逃がさん」と言わんばかりにそれぞれ同じライフルを3方向からこちらに狙いを定める。
いつ撃たれてもおかしくはないが全員が同じタイミングで引き金を引くとは思えないので、顔を3機それぞれの動向へ交互に向け、いつでもエネルギーシールドを展開可能な状態にしておいた。
だがこれはさっきも考えた通り一時的な時間稼ぎ程度にしか使えない策であり、俺としては今のこの僅かな時間さえも使って脱出の案を練るしかない。これはもうどちらかというと敵よりも時間との戦いと捉えた方が正しい気がしてくるぞ。
(考えろ・・・!
慣れてないフレームハートで動ける時間は知れてる・・・・となると武器で一気に穴を開けて脱出するか?)
突破するに越したことはない。とりあえず一旦彼らの目を掻い潜って連雀をバレない位置に逃せば俺は戦闘可能になる。だが問題なのは武器を使用するにも攻撃を受けていては不可能という点だ。
ASレーザーライフル・・・ミサイル・・・ヴァリアブルシールド
少なくともシールドとライフルのような手持ちで直線的な攻撃では突破口を開くには至らない。となると・・・ミサイル・・・か?
あのデカ物と戦った際に使った時の爆風・・・・今回は下に向けての発射ではないのであそこまでの衝撃を校舎へ伝えることはないと思うが余り好んで使用したくはない。となると・・・残りはこの「バイヨネットアンカー」になるがこれはこれでまだ使ったことも調べたこともない。
「さぁ、貴様の力、見せてもらおう!」
対策もままならない内に中央に位置する敵機が気合と共にライフルを構え直し、空いている片手を銃身下部にあてがい安定した射撃体勢へ移行するとそれに従って残りの2機も完全な射撃体勢をとった。
(どうする・・・・!?)
「あー、もう!・・・・・・・動け!」
このまま止まって的になるよりは動いた方が遥かにマシだと判断し、とりあえずヴァリアブルシールドとASレーザーライフルを構築して両副腕に装備させて意識をフレームハートへの指示へ集中させる。
ともかくこのまま黙ってやられる訳にはいかない。
契約者である俺の意図を感じ取った白桜は左手に装備しているヴァリアブルシールドを前面にかかげて防御の姿勢を構え、右手のライフルを腕ごと後ろ側へ引くとそのまま突っ切るように前方へ突進させた。
#27 完
《#28 空中戦》
どもども、主のもっちです(・∀・)
前書きにも書いた通りなんですが・・・ナシなんですね・・。
ということもあってちょっと今までの話を修正していきます。いつ終わるか分かんないですけど・・。




