第8アクセス‐‐‐仲間
「行けー、もう少しだ」
「あと一分ほどだ・・・・・」
第零、第二、第五、第六の四つの部隊が苦戦していたこの場所には今、第零から第九までの十の部隊が集結していた。聞く話によるとまっすぐ進めばどうしてもここに辿り着くらしい。
ウイルスは相変わらず勢いを止めることを知らない。完全に四方八方を囲まれている。
「ここらが潮時かねえ?」
「バカ言え俺達は絶対生き残るんだ」
「俺もういやだ」
ぽつぽつと絶望の声が上がる。しかし上げたところでどうにもなる訳ではない。ここであきらめたとしても待っているのは眼の前のウイルスの軍勢に浸食されて終わる悲しい結末だけだ。
「そろそろやばいんじゃない?」
小6の子とは思えないほどに跳躍しながらネクがうめく。補給パックなどで回復したのだが再びエネルギー不足に陥っている。
「ぐわっ!」
ついに続々と死者が出始めた。エネルギーが底を尽き、反撃できないままその体を細かなポリゴンの粒子に変え四散していく。
ガラスのような破裂音が立て続けに響く。
「畜生が!生きて帰るんだよ!」
「うわああ!」
「おいてめえ!勝手に死ぬな」
「こんなところで死ねるかよ!」
戦場は大混乱に陥った。しまいには戦闘を放棄し、ウイルスに浸食されるがままになっている奴も出てきた。
「くそ、まだかインタル!」
「もう少し待ってくれ!」
猛烈な勢いで仲間が四散していく。その光景はもう耐えられなかった。
「畜生が!」
残り少ない力を解放する。
「やめろネルク!そんなことをしたらエネルギーが尽きて死んでしまうぞ!」
「知るかよ!仲間を守るんだよ!」
制止を振り切って力を発動させようとする。
「っ・・・!」
振り返った俺の眼に飛び込んで来たのは、
「すまねえネルク、俺はここまでだ」
円楽が体の半分をウイルスに浸食された状態で笑っていた。
「・・・おい、円楽・・・・・」
思わず声が震える。
「お前との日々、楽しかったぜ」
笑顔を残し、腰からあの優勝商品で貰ったグレネードを取り出し、ピンを抜く。そしてそのままウイルスの中に飛び込んでいく。
「円楽・・・・・」
大地を揺るがすがごとき轟音と衝撃を轟かせ爆発した。円楽と共に。爆発跡には何も残らない。
「あ、ああ・・・・・があああああああ」
俺は絶叫した。大切な仲間を、友を失った。
両手に刀を形成し、叫びながら無我夢中で振り回した。悲しみが後から後から湧いてくる。これが人工知能で再現出来る感情とは思えなかった。
「うがあああがあああああ」
もう自滅覚悟で全エネルギーを込める。そのとき。
「アクセス完了した。今から全員転送する」
俺達の体を淡いブルーの光が包み、徐々に薄れ、転送される。
転送された先は、無味乾燥な真っ白な空間だった。
「・・・・ここは」
ジェネが周りを調べ始める。
「ここはまだウイルスに浸食されてないみたいだね」
「ここってもしかしてサーバー管理者の部屋じゃないの?」
おそらくそれで合っているはずだ。浸食されたサーバーで最後に残るのが最深部の管理者の部屋だからだ。
「ということはここの管理者がいるはずですが・・・・いました」
白い部屋の真ん中に二人の子供が立っていた。
どう見ても双子の女の子だ。見分けがつかないほどそっくりだ。
「・・・・あなた方がこのサーバーの管理者ですか?」
「・・・助けに来てくれたの?・・・・」
「くれたの?・・・・」
片方の言葉の語尾を復唱するようにもう片方がしゃべる。
「はい、とある人物から頼まれて来ました」
皆ボロボロで床に座りこんでいる。俺はやる気をなくし、仰向けに倒れている。どう見ても救助活動は行えそうもない。
「・・・・でも少し遅かった・・・」
「遅かった・・・・」
「どういうことです?」
「・・・もうじきこのサーバーは完全に浸食される。もう逃げられない・・・・」
「にげられない・・・・」
双子の顔が曇る。
「・・・・・そんなことさせるか・・・」
なにげなく俺ののどの奥から出てきた言葉だった。
「お前らを助けるためにどんだけの犠牲を出したと思ってる。嫌でもお前らを連れてこのサーバーから脱出する!」
息を荒げて立ち上がる。
「俺は死んでいった仲間のために、この仕事を遂行する」
「・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・まったくだな」
「ああ・・・・」
「絶対生きて帰る・・・」
全員が疲れ切った体を起こし、武器を構え直す。
「・・・・では少し細工をしよう」
インタルがいきなりサーバーにアクセスし始める。
「ウイルスに害なすデータを送るんだ。ここの部屋がこのサーバーの核だから容易にできるさ」
恐ろしげな笑みを浮かべてデータを次々送り込む。データのプログラミングでインタルの右にでる者はいない。
「おい、ウイルスが来たぞ」
見ると、真っ白の空間の一部が、黒く濁っていた。ついにこの部屋もウイルスに浸食され始めた。
ホロキーボードを操作するインタルは必至で、声をかけられない。
「畜生!」
今インタルが作成しているウイルスバスターのデータが完成すれば、このサーバーのウイルスを一気に削除することができる。
それまでの間、俺達はインタルを守らなければいけない。
皆、足を引きずり、立ち上がる。
「インタルに近づけさせるな!」
「了解!」
覚悟を決める。ここで消えるかもしれない。だがインタルを守り通せば、対ウイルス用のプログラムが完成し、他の皆が助かる。俺一人の犠牲で大勢が助かるのならば、喜んで戦おう。
「来い、ウイルス。俺が相手をしてやる」
駆けだすために両足に力を入れる。だが、俺が戦うことは無かった。
つい先ほど気がつきました。
第7話と第8話が間違っていました。(修正済み)
まだ間違いがあるかもしれなせん。
すみません。




