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システム=神  作者: 橿倪・クレナイ
インフェルニティ第一端末
2/21

第2アクセス‐‐‐大会終了

「は?」

「いよっしゃあ!」


円楽の眼の前には【Victory】、勝ちの表示が出ている。いきなりのことで、俺はさぞかしまぬけな顔をしていたことだろう。

この競技は一回のバトルにつき、1200秒の時間制限がある。つまり、たった今その時間制限が終了したということだ。


―――第二五六回バトル・オブ・インフェルニティ終了、タイムアウト

             優勝者《M・1003、円楽本春》―――


無機質なシステムアナウンスが響き、俺達二人の体が、表彰会場へと転送される。


わああ~~~~


 転送完了と同時に轟く歓声。ここはこの競技の開会式の会場をともなった《バトル・イン・ドーム》。ネーミングセンスは、この世界を創った科学者にでも聞いてくれ。

 広さは、リアルの世界に存在する東京ドームの約四個分だそうだ。その無駄に広いドームの観客席に観客がこれでもかと押し詰めている。おそらくこのインフィニティの世界に存在する約五万人のブレイカ―の大半が見に来ているだろう。


「わるいなネルク。今回も俺の勝ちだ」


円楽がドヤ顔で見てくる。うぜえ。


―――第二五六回バトル・オブ・インフェルニティ

            優勝者《M・1003、円楽本春》

                      優勝商品贈呈―――


 円楽の眼の前に半透明の四角い空中ディスプレイが表示される。あのディスプレイには膨大な額のデジタルと特別なレアアイテムが表示されているはずだ。アイテムは毎回大会ごとに変更されるので、何が貰えるかは優勝者にしか分からない。

だが、時々そのアイテムを披露してくれる奴もいる。この円楽のように。


「いよっしゃああ。最新兵器だぜ!」


なぬ!最新兵器だと!

 最新兵器は、この世界を創った科学者がたびたびインストールしてくるものであり、一つしかない。当然とてつもなく巨額の値段が付く。

 今回円楽が勝ち取った最新兵器は、グレネード爆弾らしい。あのあほ科学者が創ったものだ。威力はすさまじいに違いない。兵器についてはまた後ほど詳しく説明していこう。

 一応、二位である俺にも商品がある事にはある。が、ろくな物がない。


「・・・これでいいか」


 俺が選択したのはキャンディだ。

 本来戦闘で消費したエネルギーはある決まった施設でしか回復を行えないが、このキャンディはなめているだけでエネルギーを自動で回復してくれる便利なアイテムだ。

 ちなみにこの世界には飲食店やスーパーというものは存在しない。デジタルデータの塊であるポリゴンで形成された俺達には食事は必要ないからだ。つまりこのキャンディはただのエネルギー補給剤だ。

 無味のキャンディを口に入れた瞬間、会場から選手待合室に転送された。


「おい、待てよネルク」


円楽もついてきた。


「なんだ?優勝者さん?」

「なんだ?ひがみか?」

「うるせぇ。帰るんだよ・・・・?」


 振り向いた俺の眼の前に不気味な顔の人形が現われた。これはウサギか?異様に眼がでかい。おまけに、いたるところに血のような模様が付いている。


ズバア!


キャンディで回復中だったエネルギーを少し消費して刃を作り一刀両断する。


「な、なんてことしてくれんのよ!」

「うるせえ、紅」


 ガラスを割るような大音響とともに細かいポリゴンの欠片となって爆散したウサギの人形の跡に立っていたのは、俺の女親友である、IDWJ・2003白御紅だ。外見は俺と同じ高校生の姿にデフォルトされている。


「せっかくあんたのために買ってきたのに」


 おいおい、俺がいつ人形が欲しいと言ったんだ?そんなことを寝言った覚えは微塵もない。

 ちなみに、この世界には飲食店などは存在しないがおもちゃ屋などは存在する。何でだ

ろうな。


「一つ聞くが、あの気色が悪い人形はいくらしたんだ?」

「三二〇〇デジタル」


人形のくせにバカに高い。


「ご愁傷様」

「え、ちょっと。弁償してくれないわけ?」

「円楽、頼む」

「人形を壊したのはお前だろ」

「弁償しなさいよ!」


 左右から耳を思いっきり掴まれる。いくら俺達がデジタルデータのポリゴンで形成されている体だからといって痛みが発生しない訳ではない。めちゃくちゃいてえ


「また今度な」


ここは逃げるに限る。システムパネルを空中に呼び出し、転移する。


「IDMJ・0005ネルク、権限を行使する。強制転移」

「あ、こら!待ちなさい!」

「おい!きたねえぞ!」


 これは0000から0009までのID番号を持つブレイカ―、通称、シグナルだけが使うことのできる特別な権限の一つだ。他のブレイカ―は自分の意思でどこでも自由に転移することはできない。

俺の体を薄いブルーの光が包み、徐々に体が透過していく。


「んじゃ、お二人さん。またな」


光がひときわ眩しく輝き、光が消え去った時には転移は終了していた。


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