淡い気持ち
時は少しさかのぼって、リュータと別れた後のリーナ。
リューt・・ご主人様とも、これでお別れだろう。
故郷が消滅してから初めての楽しい日々だった。もう、笑うこともなく死んでいくと思っていたし。
正直、奴隷としてモノのように扱われて朽ちていくのだと思っていたのに。始めてのご主人様も信頼できると思っていたのに、全ては幻想だったのだ。二度と見ることのない長い夢。私の人生のわずかな安息。
でも、もう終わりだ。奴隷として役に立たない私をお金を払ってまで手元に置いておく必要はない。
きっと、ご主人様は今頃私の返品手続きに言っているのだろう。
もうお別、おわか・・れ、あれ?おかしいな涙があふれて止まらない。こんなもの10年前に枯れ果てたと思っていたのに。なぜ自分が泣いているのかもわからぬままに、私は10年ぶりに声をあげて泣いた。
「どうしたんだい」
「ステラさん」
私が泣いているのが聞こえたのか、宿の女主人のステラさんが訪ねてきてくれた。ステラさんは奴隷の私を快く宿に止めてくれた優しいドワーフのおばあさんだった。そして今は私の背中をさすってくれている。
「落ち着いたかい?で、どうして泣いていたんだい?」
「その、実は・・カクカクシコシコで」
私は今日会ったことを話した。
「そういうことかい。でも、どうして泣いてしまったのか自分でもわからないんだね?」
「はい」
「じゃあまず、1つ目の質問だよ、リュータとお別れしたいかい」
「嫌です!」
「じゃあ、それはなんでなんだい?」
「それは・・・・・・」
御主人・・リュータは、不思議な人だ。
私は獣人なのに気にしない。私は奴隷なのに優しくしてくれる。私のために高い防具を買ってくれた。
でも、それは私を壁として利用するため・・”奴隷としては扱わない”あれ?もしかして本当に私のために?
でも、でも、でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふふ、こんがらがっているみたいだね。
リュータを見ていると胸が苦しくなるかい?
リュータといるとドキドキが止まらないかい?」
「・・・・・うん!」
「それはね##というんだよ」
「フニャッ!そ、そんな」
・・・・・・・##。
まさかそんな。でも、
リュータはぶっきらぼうなくせに優しい
リュータはこんな私でも優しくしてくれた
リュータは私の故郷を奪った人族たちとは違う
うん!私はきっとリュータのことが・・・。
「でも、ステラさんもう遅いよ。私、リュータを怒らせちゃった。
きっともう嫌われちゃってるよ。それに私何にも役に立たなかったし・・」
「ハァ、まだリーナちゃんは分かってないみたいだね。リュータが言ってことを思い出してごらん」
「・・・・・・・・・・・!!!」
「分かったみたいだね。そしたらどうすればいいかわかるだろ?」
「はい」
「大丈夫さね、リュータはそのくらいでリーナちゃんを嫌いになんてならない器のでかい男だよ。
さ、帰ってくるまでお茶でもどうだ「おい、リーナちゃんはいるか!!!」
宿の1階で、ステラさんとお茶会をしようとしたら突然男の人が飛び込んできた。
「私ですけど・・・・」
「すぐに冒険者ギルドに来てくれ!リュータの野郎が運び込まれた!」
「そんな!」




