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12 だけどぼくらはばんざいまーち

俺がFSOを初めてどのくらいの時間が経ったのだろう。

今ではすっかりこんな称号まで手に入れてしまった。


『不滅の狂戦士:永遠に戦い続ける事を望む真の狂戦士の証』


もう物々しすぎて効果説明もねーよこれ。

気が付けば知り合いも増えた…けど大体が遠巻きに見てる。

まぁ妙な上位素材を死に戻り上等のプレイで手に入れてきたりするのが異端なのは俺もようやくわかったけどさぁ。

もっと真面目にゲームやろうぜ?死んだってゲームなんだし。




エリナは露天商仲間でギルドを構えて商会をやっているらしい。

一度ギルド結成パーティに自作のパイを持って「君の知り合いにどぉんどんと、おみまいしていくぞぉ」と押しかけたら本気で嫌がられたなぁ。


「君に近い者から順番になぁ待ってろよ初心者プレイヤー…選べよ、露店仲間か?それともギルド仲間か?」


とか笑顔で言ってみたのがマズかったのだろうか場を和ませる北国ジョークの積もりだったのだが…




そしておれは魔剣を振るう。

左手の名剣は既にへし折れ、右手の魔剣だけが相手の剣を抑える唯一の力だった。

敵は長剣を持った首無しの鎧騎士。いわゆるデュラハン。

『ガイアの加護を持つ物よ!滅べ!』

とか言って襲いかかってきたダンジョンのボスです。


で、死に戻り回数は今まで6回目。

こいつメッチャ剣術うめーのな、両手剣で二刀流の手数上回るとかどういう事だよ!

そしてもう何本目に成るかも分からない、既にガデムさんが作ってくれるようになった炒鋼の剣の柄を投げつける。

しかし奴はそれを身じろぎだけで回避すると、その流れに乗せて長剣がゆらりと俺の肩口を浅く狙った。

此処で引くも進むも上策ではない。出来ることは剣先に剣先を添える。流しあいの戦いだ。


そして魔剣と長剣がしゃらりしゃらりと鈴の様に音を立てて、幾合となく剣舞は続く。

――そして。


「ぎッ!」


思わず苦悶、というより罵声の声が漏れる。右手の親指に深い傷が入っていた。

即座に剣を左で持つが、その隙を見逃すデュラハンではない。


『死ね!』


左の魔剣で突き掛かりを辛くも回避するも、二段目の突きは脇腹をえぐる。

そして体勢を崩したそこには、無頭の騎士が厳然と立っていた。


『何度でも死ぬがよい。不屈の者よ』


そして俺は一撃を裁ききれず、首は宙を舞った。




「7回死んだくらいで不屈とか笑えるよなー」


俺はお気に入りになった串焼きを食いながらエリナの露店でそんなことを言う。

ポーションや革装備の修理も任せているので、ここにはよく来るのだ。

そしていくつかのポーション類をうってくれ、というと、エリナはため息をつきながら少し微笑んだ。


「でも、あなたもこうしてポーションを買うくらいはするようになったのよね。死ぬのも勉強になるのかしら?」


いやぁ単に即死しない敵が増えてきただけなんだけどな。

そんな事はおいといて、俺もにやっと笑って代金を差し出し、おまけを付けてくれたポーションを受け取った。




「ま、あれでもギルドの用心棒としては有り難いのよね…」


ソードが去った露店でエリナがぽつりで呟く。

彼女のギルドは『アインブルク西露店組合』。

聞いての通り西側の露天商が主な団員のギルドである。

で、問題になるのがギルドマスターが女性…エリナであるということだった。

女性の下に女性が集うのは道理で、女性が集まればそれを狙う男が集まるのも道理だった。

それを解決してくれたのがソードだったのだ。



相手は当時のトップパーティ。女っ気のない彼らは女性ギルドを傘下にしようと下心を出してエリナ達に手を出したのだった。

そこに立ったのがソードである。

彼は言った。


「広間でやろう。負けた、参ったと言った方が負けだ。なら俺がおまえらを全員倒してやる」


そして、負けたら金輪際エリナ達にちょっかいをかけないことを誓わせた。

もちろん、そんな無謀は鼻で笑われる。

野次馬達もそれを笑い――絶叫と嘔吐に包まれた。

戦いは、凄惨に尽きた。

砕け、引きちぎられてなお戦う男は、焼かれようが砕けようがえぐられようが、倒れても倒れても、一切躊躇無くゲートから復活しては斬りかかってくるのである。

不屈、という意味を真に目の当たりにしたパーティは、我先にと逃げ出した。


しかし、そんなことで止まるソードではなかった。

死んでもなお、砕けてもなお、最早剣を取り落としてなお、赤い血潮を引きずりながら彼は町中を探し回った。

そして全ての団員が悲鳴その他と共に「参った」というまで、決闘の惨劇は一昼夜続いたのだった。


コレは後に「血の狂戦士」事件としてアインブルクの伝説に成ったりするのだが、そんなことはさておき。




そして、皮革やポーションを団員価格で卸す、という条件でソードはギルドに入っている。

が、露店も開くことはなく、彼は今日も自由に町中を走っていた。


「モルガさーん、練金台貸してー」


「今度は爆発させるんじゃないよ!!」


練金屋に行けば、新しい材料を様々な方法で変質させ、材料にし続けた。

もちろん、これらがエリナの所に行くこともしばしばだ。


そして案の定、ぼふんと音がしてろうばの罵声が飛んだ。




「ガデムさーん。剣打ち直してー」


「おい!また折ったのか!?」


ついで彼は折れた剣を手に鍛冶屋に行く。

もうすっかり炒鋼の作り方はマスターしたらしく、従来の鋼より高い靱性を誇るとかで人気商品らしい。

次は鉄芯を入れて古刀を目指す番だな!と気合いを入れていると、ガデムからこんな話が来た。


「お前もう専門の鍛冶屋にならないか?それだけの腕が在ればまともな鍛冶屋はやっていけるぜ」


成るわけがない。彼は不屈の戦士なのだ。

彼は首を横に振ると、炒鋼インゴットの中に鉄棒を入れるべくストーンフォージを連打するのであった。




スススススッススッ


左片手の剣が目に求まらぬ連撃でわら人形をみじんにしていく。

訓練所のオッチャンはもはや畏怖の目でこちらを見ていた。

…だが、足りないんだ。

世界にはいくらでも強者がいる。

そして俺は右手の魔剣を抜いて剣を薄く磨る様に構えた。





「――ッッ!!!」




光が剣に、剣が光になる。

だが足りない。あの剣に追いつかない!




そして俺は訓練所の就業時間で追い出されると、また串焼きを食べてしばしの休息についた。

クッソ!あのデュラハンマジブッ殺してやるかんな!




そしておれは決意も新たにダンジョンに向かうのであった…




死にました。


ハハハッ!届かねぇなぁ!俺の戦いは終わらねぇ!

振り上げた魔剣は、闘志に反応するようにキラリと輝く。

剣士の道も、鍛冶屋の道も、全部やり通してやるぜ!

首洗って待ってろよ、首無し!いや、全ての敵!


全部死ぬまで殺してやるぜぇ!!





Free Style Online おわり



ソード君のいい加減な話はコレで一応終了です、

習作みたいなものがなげっぱでも完結出来てうれしさ百倍です。

もしかしたら続編もあるかも?

なんてかってに妄想してるのでした。

いや無理だって。


あ、あとソード君は文中でも少し言われてるけど遺伝子改造の強化人間です。

強制ログアウトがないのはそのせいで脳の回復力が以上に高いせい。諦めないのは天性です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] サクサクっと読めて面白かったです。 めっちゃゲームしてんねえ!君ねえ! 楽しそうで良いなあ! (やってる内容からは目をそらしつつ) って終始そう思える主人公くんでした。
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