集団戦1
俺たちは列車の上に乗っていた。
意外なことだが、ちゃんと動くもんだなあ。
俺は感心していた。
メンバーは7人。
俺。
吉田。
それに闘技場の奴隷。
全員俺と戦った男たちだ。
協力を申し出た奴隷仲間は何人もいたが煉獄を上手く使えないヤツはメンバーから外した。
それに騎士団からも数人。
彼らは煉獄の適正のないものが多かった。
非常に残念だ。
だがしかたない。
無駄死には防ぐ。
あくまで『いのちをだいじに』で行くのだ!
それともう一人……
「久しぶりだなあ。光を見るのって。速く太陽見えないかなあ」
細川が喜んでいた。
細川は俺の管制システムに搭乗している。
射撃の下手な俺のサポートのためにアゼルを復座型に改造したのだ。
と言うか、気がついたら勝手に改造されていた。
しかも「ついていく!」と言って聞かない。
結局、渋々俺は了承した。
俺が射撃ヘタなのは紛れもない事実だからだ。
絶対に守るぞ!
俺がそう心の中で誓っているとバカが叫んだ。
「がはははは! 見てろよ未来の嫁!!!」
遺憾なことにバカは俺以外の誰よりも煉獄を上手に扱うことに成功した。
ホント残念!
俺はレイガンの表示を確認する。
安全装置オン。
バッテリーは最大。
モードは3つ。
セミオート。
フルオート。
散弾。
セミオートは単発。
フルオートは連射。
散弾は散弾銃だ。
小さく広範囲にビームを飛ばすようになっている。
今回の相手はナノロボットの集合体。
ある程度接近したら散弾モードで戦う予定になっている。
確認するとセミオートになっていた。
俺は射撃がヘタクソだ。
練習しても当らない。
だから細川に照準システムを任せている。
うん……情けない……
俺が密かに落ち込んでいると、発車を知らせるブザーが鳴り、貨物列車が揺れはじめた。
出発のようだ。
「行くぜ!」
俺は安全装置をオフにした。
なんだかこの安全装置ってヤツが気になって何度も確認してしまう……
あるよね。
そういうの。
「タカムラ! キョロキョロしない! 照準システムがぶれる!」
細川が俺に怒る。
案外オカン気質だよね……細川って。
◇
トンネルを通り外に出る俺たち。
光が見える。
「おいなんだこれ! これが外の照明なのか?!」
「太陽だよ! やっぱ外はいいなあ!」
俺と細川は「ふふんッ!」と勝ち誇る。
上から目線で。
ところが吉田は別なところを冷静に見ていた。
「この土はダメだな……」
「え?」
「砂みたいに細かい。それに見ろよ。草すら生えていない。汚染か……それとも土に微生物がいないのか。ここの連中がコストの高い水耕栽培をしてる理由がわかったぜ」
「詳しいんだな」
「たいしたことじゃねえよ」
へー。
そういう物の見方もあるんだな。
俺は素直に感心した。
なるほどそうやって考えるのか。
しばらく走ると音が聞こえてくる。
あの蜘蛛の大群が走ってくる音だ。
丘の方から黒い粒が走ってくるのが見えた。
やはり来たか。
「来やがったぜ!」
「おうよ!」
吉田がセミオートで遠くの蜘蛛を撃っていく。
何匹もの蜘蛛が内部から弾け飛ぶのが見えた。
やはりレイガンが弱点だ。
……それにしてもコイツ銃使うの上手いな。
「ゲーセンのガンシューが得意でな。大学時代はよくやったぜ!」
いやそんなレベルじゃねえだろ!
お前上手すぎだろが!
「うちらも行くよ!」
俺は細川の支持通りライフルで銃を構える。
細川の照準システムの補正でなんとか蜘蛛を撃ち抜く。
蜘蛛は恐ろしいまでのスピードで俺たちに近づいてきた。
吉田はフルオートに切り替え銃をぶっ放す。
面攻撃に換えたのだ。
俺たちもフルオート。
吉田の射線と交差するように面攻撃をする。
質量も無く文字通り光速で飛んでいくレイガンが蜘蛛を撃ち抜く。
穴の空いた蜘蛛は無様に弾け飛ぶ。
他の連中もフルオートで銃を乱射。
蜘蛛の汚い花火があちこちで上がった。
「てめえら! 味方を撃つなよ!」
「おうよ!」
「細川。頼りにしてる!」
「あいよ!」
俺は格好つけられない。
ちょっと寂しい。
「タカムラ! 煉獄の用意! そろそろお前の間合いだ!」
おっと俺の出番のようだ。
俺は頭の中で炎をイメージする。
闘技場の練習でコツは掴んだ。
腕に入れ墨状に走る紋章が焼き付くような輝きを放つ。
「煉獄よ! 焼き尽くせ!!!」
俺が手を払うと同時に蜘蛛の群れの下から炎の柱が立ち上がる。
これが練習して使えるようになった力だ。
名前はまだない。
現在、俺の主張する「ファッ●ファイア」と吉田の「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え(出典:歌劇『魔笛』)」で拳を交えた喧嘩となっている。
この間の火災旋風ほどの威力ではないが使い勝手がいい。
炎に触れると蜘蛛は一瞬で消し炭になっていく。
俺が第一陣を焼き払うと吉田も続く。
「煉獄よ! JCをお嫁さんに!!!」
煉獄はお前の願いを叶えるアイテムじゃねえ!
俺が全力でツッコミを入れる中、吉田が集中した空間の温度が上がっていく。
なぜか吉田はか●はめ波のポーズで構えている。
いらんわそんなタメ!
そして突如何もない空間が燃える。
蜘蛛が火だるまになり一瞬で炭になった。
名付けて業火。
俺の主張した「スーパーウルトラ★バーニングファイア」は煉獄を使えるようになった全員による鉄拳制裁含む反対を受け、泣く泣く否決された。
みんな「そんな恥ずかしい名前つけられっか! ふざけんな死ね」だって。
全員後で覚えてろ。




