episode 079
「秋希ちゃんがさらわれたぁ?!」
相談室に、冬流の叫び声が響き渡った。
「私のせいだ、あの娘を一人にしていたから」
項垂れた夏純が、小さな声で呟く。
「すぐに部員達を捜索に当たらせたけれど、何の手掛かりもない」
「くっ!」
「何処に行くんだ、冬流」
部屋を飛び出そうとした冬流を、春都はガシッと押し止めた。
「どこにって、決まってるだろ!秋希ちゃん探しに行くんだよ」
「無謀だ、闇雲に探し回っても見つかりっこない」
「お前……何でそんなに冷静なんだよッ!」
落ち着き払っている態度に切れた冬流は、春都の胸ぐらを掴み上げる。
「こうしてる間に、秋希ちゃんは人獣交換されているのかも知れないんだぞ。じっとしていられるか!」
「俺が冷静、だと?」
春都は、冬流の発言を否定した。
「とんでもない、バチ切れる寸前だっての」
「お前……」
春都が握りしめた両拳から、じっとり血が滲み出しているのに気が付いた冬流は、やや冷静になっていた。
「……すまない」
「まだ、時間はある」
春都は、自分にも言い聞かせる様な口調で、2人に向かって話した。
「元々の捜査を遅らせる訳にはいかない。冬流と夏純ちゃんは、次の事件を阻止する事に全力を尽くしてくれ」
「オッケ」
「分かったわ」
2人が相談室を出て行くと、春都は声を絞り出して言った。
「……秋希ちゃんの居所は、俺が必ず突き止めてみせる!」




