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インベンションマン|Invention-Man  作者: 黒珈|くろこ


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39/121

episode 038

 月曜日、早朝。

 町田街道を高尾から町田方面に向け、三台のメルセデスベンツが走っていた。


 オールスモーク化された窓からは中の様子を伺う事は出来ないが、一目でかかわり合いたくない類の集団だという事が分かる。

 先頭のSクラスが、左にウインカーを出した。

 残りの二台も後に続く。

 多摩ニュータウン通りに入った所で、車はハザードを出しながら路肩に止まった。

 ドアが開き、白衣に包まれた学者風の男がわらわらと降りて来る。

 丁度ゴミを出すため自宅から出て来た中年女性は、何が起きたのかと不思議そうにそれを眺めていたが、その場の雰囲気を察してそそくさとマンションに引っ込んで行った。


 その時、最後尾に止まった車の後部ウインドウが、半分ほどスーッと下りてきた。

 中から、細面の女が顔を覗かせる。

 濃いサングラスを掛けてはいるが、彼女は立川駅前の喫茶店に居た女性と同一人物であった。

「その後、彼から連絡は?」

 ドアの傍らに控えている白衣に尋ねる。

「いえ、まだ入っておりません」

「仕様が無いひと」

(また、悪い癖が出たのかしら)

 少し首を傾げた彼女だったが、やがて小さく溜息をついて言った。

「まあいいわ、予定通り進めましょう。モノは大丈夫なの?」

「はい、『ポイントX』に設置しました」

「では、各自所定場所にて待機。作戦開始は10時間後よ」

「はっ!」


「さあて、いよいよスタートね」

 パワーウインドウが閉まる瞬間、これから始まるイベントに思いを馳せた彼女は、口元をぐにゃりと歪めて笑った。

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