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インベンションマン|Invention-Man  作者: 黒珈|くろこ


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36/121

episode 035

 結局、数人に情報収集した時点で教師に見つかった二人は、即刻7番地を追い出されてしまった。


「同学年の人間と世間話をしていただけで、まるで犯罪者扱いだ」

 冬流は、問答無用でつまみ出された事に憤慨を覚えていた。

 一方、春都は至って冷静だった。

「まあ、正攻法だとこうなるとは思っていたけれどね」

 左腕に装着した腕時計兼通信機の側面ボタンを押す。

 小型スピーカーからは、先程冬流が巧みな話術を駆使して『世間話』をした生徒達の声が聞こえて来る。


―北野さん? ああ、この前亡くなった娘ね。成績は良かったわよ。何せこの春から編入してきて、いきなりトップクラスの仲間入りしてたもの。今まで常連だった人達、相当やっかんでいたわ。


―鐘子は昔からおとなしかったけれど、編入してからは更に拍車がかかっていた。何をするにも一人で、それが更に反感を買っていたみたい。


―下着泥棒? そう言えば、最近被害は無くなったなぁ。あなた達が捕まえてくれたの?


「よく分からん」

捉えどころの無い話ばかりで、冬流はうんざりしていた。

「クラスメイトなんだから、もう少し突っ込んだ話もあって良さそうなものだが」

「あの場所では、皆あんな感じだ」

 通信機のスイッチを切って、春都は表情を変えずに言った。

「もっとも、全員がそういう奴ばかりではないがな」

「なるほど、ここで待っている理由はそれか」

 二人は先ほどから、7番地から女子寮に続く道にある小橋のたもとに佇んでいた。

 春都が意味も無くここに止まっているとは思っていないが、待ち人が誰なのか、冬流には全く分からなかった。

「一体、誰を……」

「しっ」

 かすかに聞こえる靴の音に、春都は首を巡らせた。

 暗闇の中から、月の明かりと共に一人の中年男性が現れた。電灯に反射した白いスーツが、夜の世界とミスマッチな感覚を覚える。

 彼は、春都と冬流の方に一瞥をくれたが、何も無かった様にスッと通り抜けていった。

「何だ、あのオッサン」

 暫くして、冬流が春都の背中をつついて聞いた。

「知らん」

 ぶっきらぼうに答えた春都に、彼は思わずぷっと吹き出した。

「いやぁ、俺はてっきりハルが男と逢い引きしていたのかと思ったよ」

「言ったな左!」

 小橋の真ん中でぎゃーぎゃー騒ぎ始めた二人の背後から、おずおずと声が掛けられた。

「あの……」

 振り返った春都は、橋を渡れなくて躊躇している制服姿の少女を見て言った。

「おう、待っていたよ。河崎」

「私、を?」

 柚香は、目をパチクリさせながら、彼の顔を見つめた。

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