episode 026
「特殊機能は、まだあるんだ」
「え?」
「ナタリー、例の画像をケビンにスキャン転送してくれ」
『ハーイ』
彼女はディスプレイの端に寄って行くと、データ送受信画面を呼び出した。
該当のファイルを選択すると、紙飛行機のようにえいっと放り投げる。
数十秒後、ファイル転送率のグラフが100%を示して消えた途端、春都の携帯端末が鈍い光を放った。
「……ぶっ、ぶはははは」
春都を見た蔵敷が、お腹を押さえて笑い転げた。
『ソンナニ笑ッチャダメヨ』
そういうナタリーも、涙を流しながら笑いを堪えている。
不思議に思った春都は、自分の姿を見下ろして、度肝を抜かれた。
「な、なんじゃこりゃあっ?!」
視線の先、胸元に見た事の無い二つの膨らみが乗っかっている。
しかも、身に纏っているのは、薄いブルーのビキニ一枚のみだったのだ。
真っ赤になった彼は、慌てて両腕で胸元を覆った。
既に、頭の中がパニック状態である。
「これが『イマージング』機能、ナタリーがスキャンした画像をモバイルフォンに転送させ、特殊バリヤードフェルトの表面に浮かび上がらせる」
「なる程」
春都はようやく、この装置の有用性を理解した。
「これで、わざわざ毎回コスチュームを着替える必要は無くなった訳だ」
「但し、良い事ばかりじゃないぜ」
蔵敷はそう言って、注意点を付け加える。
「『イマージング』は電気をおそろしく食う。通常バリヤーで1時間もつバッテリーが、わずか5分でカラになっちまう」
「なんとかマンより長いじゃないか、それで充分だよ」
モバイルフォンを腕に馴染ませながら、春都は満足そうに言った。
蔵敷は、半分納得が行っていない口調で尋ねる。
「でもよー、この前みたいな変質者相手に、ここまでする必要あるのか?」
「あるさ」
きっぱり自信を持って、春都は答えた。
「この前の奴は、多分下っ端だ。まだまだ大きな闇が来るぞ、必ずな」
「ふむ」
蔵敷は、神妙な面持ちで頷いた。
「それでは、拙者にも考えがある」
「何だ?」
興味を持った春都は、身を乗りだして彼の次の言葉を待つ。
「ケビン」
大真面目な顔で、蔵敷は言った。
「今度は、もっこりグラビアアイドル●●●●ちゃんの身体を、イマージングしてくれないか?」
「……」
(一体どうなっているんだ!俺のカラダはいきなり性転換してしまったのか?!)
暫くしてから、春都の耳にクスクスと笑い声が聞こえて来た。
「ケビン、もう一度見てみなよ」
「もう一度って……」
春都は改めて、自分の身体を見下ろした。
すると、いつの間にか水着姿の巨乳が消えて、普段通りの学生服に戻っていた。




