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インベンションマン|Invention-Man  作者: 黒珈|くろこ


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episode 019

『独占スクープ!消えた首無し死体!連続下着泥棒の犯人は幽霊だったのか?』


『Who Are You? 連続下着強盗犯から本紙記者を救った謎の発明家とは? その華麗な戦いを完全再現!』


「だーから見たんだって、消えちまったんだよぉ!」

 ニヤニヤしている夏純を前に、拳を振り上げた冬流が咬みついている。

「あら、じゃあ物的証拠を持って来てちょうだいな」

「証拠なんてねーよ、俺達の記者魂が何よりの証だ」

 それを聞いた彼女はおほほほと、甲高い声をあげて笑った。

「見苦しいわよ左、犯行現場にたどり着けなかったからって、デッチ上げの記事まで載せて」

「何だと!」

 これには冬流もカチンときた。

「お前らだって、三流芸能誌みたいな題名つけやがって、犯人取り逃がしたくせに居もしないヒーロー登場させて露骨な部数稼ぎするんじゃねえ!」

「言ったわね!」

 ギャーギャー掴み合いを始めた二人を見て、秋希はやれやれと溜息をついた。

 隣でぼーっとしている春都に声を掛ける。

「これで、解決したのですか?」

「ん、多分ね」

 彼の返事は、若干曖昧なものとなった。


(もう、あいつはこの世に居ないのだ。これで学園の安全は守られた……)

 そう思えば良いのだが、彼の根っこの部分では全く腹落ちしていない。

 納得するには、あまりにも疑問点が多過ぎるのだ。


 あいつは、人間なのか?

 あいつを倒した奴は、誰なのか?


 そして、奴が最後に言った言葉。


『おのれゲンナイ、口惜しや……』


 ゲンナイとは、誰なんだ?

 何故、死に台詞にまでなる程、恨んでいるのだ……?


 現時点では、解決の糸口さえ掴めていない。

 但し、このままでは終わらない、更に何かが起こるだろう、という嫌な予感だけは、彼の脳裏にびたりとこびり付いていた。

(色々準備が必要だ、忙しくなるぞ)


「ところで室長、今日は何故帽子を被ってるの?」

 そう言った秋希は、春都の頭からひょいっと野球帽を取り上げた。

「わっ、こら!」

「あーっ!」

 彼女が大きな声を上げると、喧嘩の真っ最中だった冬流と夏純もこちらを振り返る。

「うっ」「わぁ」

 春都の後頭部には、10円サイズのハゲが出来上がっていた。


「あのな、これはだなぁ」

 彼は慌てて説明しようとしたが、時すでに遅し。

 秋希は、瞳をうるうると潤ませていた。

「ごめんなさい、室長。そんなになるほど、私達が苦労を掛けていたのですね」

「春やん、すまん」

 冬流も、バツの悪そうに頭を下げる。

「本気で困らせるつもりはなかったんだ。こいつとは、いつもこんな感じだからさ」

「そうそう、室長だからって1人で思い詰めないで」

 遂には夏純まで、神妙な面持ちになってしまった。

「だーっ、だから違うんだってばぁ!」


 相談室一杯に、春都の絶叫が響き渡った。

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