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異世界物件のツキモノ  作者: シラ猫
空き部屋

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6/6

連載中のファンタジー作品である『王子みっしょん』も本日投稿しました。

宜しければどうぞ(^^)


 3日後。


 引っ越し直後は寝不足だったアリサも最近は熟睡できていた。商業ギルドのバーンズから異常はないと報告を受けた。それに父親が職場から防音の魔術具を借りてきたおかげで、物音に怯える心配が無くなり、奇妙な出来事はあれから起きなかった。


 朝食を食べたあと部屋に戻り、ケリーが準備してくれた制服に着替えた。新しい制服姿の自分を鏡で確認すると、まだ見慣れなくて前の制服のが可愛いと思ってしまう。あと2年で卒業するので、学校側は以前の制服でも構わないと言ったそうだが、一人だけ違う制服はかわいそうだと父親が買ってくれた。自分の家が裕福でない事を知っているアリサは無駄なお金を使わせて申し訳ない気持ちになった。


 編入したことで友達ができるか不安だったが杞憂に終わる。初日から友達ができた。面識のあった下級貴族の女の子と友達になり、さらに二人の平民の女の子とも仲良くなった。


 アリサが通う貴族学校は5年間通う。魔力が安定してくる10歳から通い始める。学年毎に2クラスあり、一つが上級、中級貴族用。もう一つが下級貴族と平民用に振り分けられる。これは差別ではなく魔力量に差があるためだ。王都などは人数が多いのでクラスの数は増えたりする。貴族学校と言ってもお金を出せば平民も通うことが出来る。魔術制御の授業もあるため、一定以上の魔力がないと入学許可をもらえない。平民が卒業しても貴族と認められる事はないが、優秀だと判断されると貴族に雇ってもらえることがあるし、商人の子供が貴族との顔つなぎに通ったりする。


 アリサが教室に入ると名前を呼ばれた。


「アリサ様、ごきげんようですわ」


 声がした方に振り向くと下級貴族の友達のルリエがいたので挨拶を返す。


「あら、ルリエ様。ごきげんよう」


 ルリエと一緒に席に向かう最中にクラスメイトから挨拶されるのでそれに応じる。


 ルリエは物怖じしない女の子で先生や上位貴族が相手でも自分の意見をきちんと言える。仲良し友達のリーダー的存在であり、クラスリーダーでもある。編入初日の緊張しているアリサに最初に声を掛けてくれた。


 アリサは慣れた様子で席に座った。座る席は決まっていなくて自由にしてよい。だいたいが友達の近くに座るのでいつも同じような席になってしまう。アリサも例に漏れずにそうなっている。


 ルリエと談笑していると、残りも友達もやってきた。平民のラターニャとキリシアだ。


「「ルリエ様、アリサ様、ごきげんよう」」


「ごきげんよう、ラターニャ、キリシア」


 アリサが挨拶を返すと、遅れてルリエも挨拶する。


「ごきげんようですわ、ラターニャ、キリシア」


 午前の授業を難なくこなした後、昼休みになる。昼食を食べながらラターニャとキリシアの楽しそうなお喋りを聞いていたら、ルリエがアリサに尋ねてきた。


「そういえばアリサ様はどこにお住まいなのですか? 貴族エリアでお見かけした事が無いから気になってましたの」


「わたしくは貴族エリアに住んでいません。集合住宅と呼ばれているところに住んでおります」


 やり取りを聞いていたキリシアが口もとに手を当てる。表情は強張り声を漏らした。


「クリプト……」


 バーンズが呟いた言葉と同じことだと気づいたアリサは直ぐに聞き返す。


「えっ……。キリシアは何か知っていて?」


 アリサの問いかけにキリシアが謝る。


「ごめんなさい。気にしないでください」


 キリシアはそれ以上に言いたくない様子。隣にいるラターニャも顔色は悪い。


 アリサの隣で話を聞いていたルリエが気になったのかキリシアに尋ねた。


「私にはクリプトって聞こえましたが、下級貴族のことですか?」


 キリシアはアリサを見てから、教えてくれた。


「ルリエ様が仰られた通り、下級貴族のクリプト様のことです。集合住宅がある場所はクリプト様が所有してた土地です。領主様の一族よりも古くからこの地に住んでいた一族みたいです」


「わたくし、商業ギルドのバーンズがクリプトの呪いと呟いたのを聞きました。何か知っていて?」


 キリシアはラターニャの顔みて、「う~ん、どうしよう。言っていいのかな?」と確認した。


 それを聞いていたアリサが必死に「教えてくださいませ」とお願いする。



 キリシアは言いにくそうに、口ごもりながら話してくれた。


「アリサ様の前で言いにくいのですが、幽霊が出たとか、物音がしただとか、視線を感じるとか奇妙なことが起こるみたいで……」


 話を聞いてルリエは怖がりだした。


「幽霊ですか? それは恐ろしいですわ」


 身に覚えがあるアリサは背筋が冷えた。


 アリサの様子を見て悪いことを言ったとキリシアが謝る。


「アリサ様、私も体験したわけじゃないんです。あくまでも噂です。その……気にしないでください」


「わたくしは大丈夫ですわ。その話にクリプト様が関係するのですか?」


 なかなか話ださないキリシアを見かねたラターニャが代わりに答える。


「クリプト様はそこで魔術関係の研究をしていたらしいです。領地への貢献が少ない事から、住民が増えてきた問題を抱えた領主様が土地を買い取るとかで揉めたそうです」


 何か思い出したのかルリエは柏手を叩く。


「あっ、それは本当ですわ。私も両親から聞いたことがあります」


「かなり揉めてたらしいけど、ある日忽然と姿を消したみたいで、当時は領主様に消されたなんて噂があった事もあるらしいです。身内もいない事から領主様の判断で建物が壊されて、今の集合住宅を造ったそうで……。えーっと、住宅が完成してしばらく経った頃に部屋でクリプト様の遺体が発見されました。それからおかしなことがある度に『クリプトの呪い』と呼ばれるようになったみたいです」


 事実を知ったアリサはショックで気を失いそうになった。


読んでいただいてありがとうございます。


宜しければ、『評価・リアクション・感想』があると嬉しいです。


反応があるとモチベーションがアップして執筆意欲があがります。


ご協力よろしくお願いします (^^)/

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