10.どこか遠い所からやってきた妖精姫(ギルドの受付嬢ミレーネ視点)
私はミレーネ。
アイステリア王国で王国立ダンジョリア冒険者ギルドの受付嬢をやってます。
亜麻色の髪に亜麻色の目の、遠い先祖にちょっとエルフの血が混じっているので寿命がちょっと長いかなぐらいの普通の女子です。
得意な事は、実は結構力持ちで事務の書類の大きな束を軽々と持ち上げられること。
不得意な事は、実は接客。
でも、色々な冒険者様に出会えて冒険を応援できるこの仕事が大好きです。
だから日々、先輩にも教わりながら仕事を勉強中です。
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「おい、ネーチャン。依頼票の手続き頼むわ」
「はーい、わっ、いっぱい。頑張ってくださったんですね。ありがとうございますっ」
「へへっ! 軽いもんよ」
ごつい男性の冒険者様が、カウンターにドサッと依頼表をまとめて置いてくださいました。
いつも他の人があまり引き受けない仕事をたくさんこなしてくださる方で、私はできる限りてきぱき処理する傍ら、男性のお話にも耳を傾けさせていただきます。
「そういや、さっき門の所で、ここら辺では見ないぐらい真っ白な色白で金髪のネーチャンが新規入国の行列に並んでたぞ」
「外国の方ですかね?」
「そんな感じだな」
「じゃ、仕事頑張れよ」
「ありがとうございますっ」
そんな雑談をしつつ、男性と別れると、ちょっとしてから話にあったであろう人が現れました。
手に仮入国証の大きな札を持っているのが見えます。
話に聞いていたから驚かずに済んだけれど、色々な冒険者の方を見ている私でも見ない感じの女性です。
金髪に濃い紫の目をして、ほとんど家から出ずに過ごしているのか肌が抜けるように白いです。
目の表情が完全に死んでいて、その美貌と相まって本当に一瞬妖精かと思いました。
ここまで短時間で来たということは、門で会話ができたのでしょうか。
という事は、近隣の国からの亡命とかでしょうか?
謎です。
もしかしたら、ウチの国のどこかの貴族様という事もありうるのでしょうか?
でも、いつも通りやらないと、それはそれで冒険者様の異常に気付いたという事になりトラブルです。
ええ、冒険者様をいつでも観察しているという事は分からないようにやらなければなりません。
「いらっしゃいませー! 仮入国証をお持ちですねー! 0番の窓口へどうぞー」
私がそう明るく声を出して、0番出口に移動すると、それまで死んだような目をしていた彼女が、ぱっと瞳を輝かせて迷いなくこちらに来てくださった。
「本日は冒険者ギルドにお越しくださいまして誠にありがとうございますっ」
頭を下げてから、
「仮入国者様、本日はアイステリア王国内での身分証にもなる冒険者ギルドカードを発行するという事でよろしいでしょうか?」
というと、女性は強く頷いてから、
「はい、よろしくお願いします」
と、なんの訛りもなく仰ってくださいました。
全然違和感なく言葉は通じているようで驚きです。
『冒険者ギルド』という単語にも『冒険者ギルドカード』という言葉にも戸惑いはないようでした。
でしたら、長い説明はご迷惑にもなるかもしれません。
そう思った私が、早とちりをして、冒険者様を戸惑わせてしまうミスをしたりしてしまうのはまた別の話。
冒険者様には色々な方がいらっしゃいます。
本当に日々勉強です。
読んで下さってありがとうございました。本当に感謝です。
2回連続で他キャラ視点でした。




