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屋敷での攻防 part4

リオンは手の中の剣を強く握りしめ魔力を込める。

雷の魔術が剣を青白く発光させ、刃先からは小さくスパークが迸っている。

「はぁぁぁああ!!」

叫びを上げながらリオンはグラサン男たちへ勢いよく走り出す。

いつもよりもその声が大きいのはこれからの行いへの覚悟が揺らがぬようにか。

グラサン集団のその一人、カレンとエアリアへ睨みを利かせていた男の元へ一気に近寄ると、その腕を握られた剣ごと、下方向からためらうことなく斬り裂く。

雷の魔術で高熱を帯びていたのでその切断面は焼け、血の噴出は無かった。



バランスを失い、もんどりうって倒れる男にそのまま背中から剣を突き刺す。

魔術が男の体内で暴れ狂い、内側からその肉を引き裂いていく。

迸る稲妻によって針山のようになった男へ目もくれず、次なる標的へと狙いを定め走り出す。

背後では黒焦げになった“物”が倒れる音が小さく聞こえた。

「食らうかっ!!」

残りのグラサン男たちもおとなしくやられてくれるわけもなく、こちらへ反撃を仕掛けてくるがそれを障壁で防ぎ、雷撃の刃を飛ばす。

縦一文字に走る刃は床を削りながらグラサン男の一人の足を股関節から斬り落とし、続けて飛来する雷撃の刃が床に倒れる寸前の男の首を斬り落とした。



「残りは……四人か!!」

残りの人数を確かめると剣から杖へと持ち替え、雷の矢を放つ。

途中で幾筋にも枝分かれし、四人の頭上へ降り注ぐ。

だが、その攻撃は障壁に防がれ、反撃で風の刃を飛ばしてくる。

「…………」

言葉を発することなく無表情のまま攻撃を仕掛けてくるグラサン男たちに不気味さを覚えながらも怯むことなく反撃をする。

「これならっ!!」

空中に浮かべたいくつもの雷の矢を高速回転し螺旋状にさせるとそれを放つ。

相手を追尾することはなくなるが、貫通能力を高めた矢はグラサン男が張った障壁ごとその体を貫く。

胴体に大きな穴を開けた男は、瞳から光を失いうつぶせに倒れる。

「残り、三!!」

叫びながら床から雷撃を複数発生させ、飛来してきた風の刃を眼前で引き裂くとそのうちのいくつかを男へと蹴り飛ばす。

猛スピードで迫る雷撃に反応しきれず、男は袈裟懸けに溶断され黒焦げの切断面を晒しながら床へと転がる。



「あと、二!!」

二人となったグラサン男たちだが、焦りや動揺を一切見せることなく冷静に風の刃を放ってくる。

(……こいつら同じ魔術しか使えないのか?)

いくつも飛んでくる風の刃をいなしながら、リオンはまた一つ疑問を見つける。

グラサン男たちが使う魔術が先ほどから変化が無いのだ。

形や大きさは違えど、その波動には一切の変化が無いのだ。

「だとしてもっ!!」

今はそれを考えても仕方がない。


ーー殺すと決めた相手を気にしすぎると戦うことが出来なくなる瞬間がやってくる。


以前にハルトがそう言っていたのを思い出す。

「悪いが死にゆくお前らのことは考えないっ!!」

もう一度、剣に持ち替え雷を纏わせるとブーツのそこから突風を噴出させ、その勢いを乗せ男へと突き立てる。

凄まじい勢いで貫いた左肩はその威力に耐えられず、ちぎれ飛んだ腕が宙を舞う。

そのまま剣から風の魔術を勢いよく噴き出し、急制動を掛けるとブーツのつま先から雷の魔術を発動すると回し蹴りの要領で残った男の上半身を蹴り裂く。

「…………」

相変わらず言葉を発することもなく絶命する男。

その姿に気を掛けることなく、リオンは最後に残った男を睨み据える。

そのとき、驚くべきことが起こった。

なんとグラサン男の姿がその場でドロドロと溶け始めたのだ。

「なっ、なんだ一体……」

不可思議な現象を前に疑問を漏らすリオンの頭上からしわがれた声が響き渡った。


「ふん、時間切れか……」

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