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共にあるということ

「リオン、大丈夫か!?」

未だシュウシュウと不気味な音を立てるグラサン男の成れの果てを、呆然と見つめているリオンにエアリアが声を掛ける。

先ほどのしわがれた声を聞いても上にあがって来ないリオンを心配して見に来たのだ。

「……エアリアさん」

一言だけ漏らし、エアリアを見つめるその表情は怒りとも悲しみともつかない複雑な表情だった。

今の今まで殺し合いをしていた相手だが、こうも唐突にしかも普通ではない死に方を目の前でされては無理からぬことだが。



「何があったんだ……?」

エアリアが困惑したように呟く。

戦闘があったことは当然だが、この光景は異様だった。

あちらこちらに血飛沫がこびりつき、黒焦げになった死体も転がっているが何よりも異様だったのは、リオンの目の前に広がっている悪臭を放つどす黒い粘液だった。

リオンがやったとも思えず、エアリアはうなだれている相棒に近寄る。

「大丈夫か? どこか痛むか?」

エアリアの心配そうな声にリオンは震える声で返事をする。

「……目の前で溶けたんです……男が……でも他の奴は僕が殺して……それで最後の一人になったときに……」

混乱していて上手く言葉を紡げないが、何とか口にするとエアリアが肩を掴み瞳を覗き込む。



その橙色の美しい双眸にリオンはドギマギしながらも不思議な安心感を覚える。

「あ、あの……エアリアさん?」

だが、リオンのその言葉にエアリアは答えずそのままジッと見つめ続ける。

「……大丈夫だ」

しばらくそうしていたエアリアだったがニコリと笑って頭を撫でる。

「何があっても、私は君を護ってみせる。 だからそんな顔をするな」

エアリアの優しい微笑みに、リオンの瞳からは涙が一粒溢れた。

「……ありがとうございます……僕、自分で何とかしないとって……」

「以前も言ったが、私たちは仲間だ。 お互いを助け合えばいいのさ」

そう言って屈託のない顔で笑うエアリアに、リオンは随分と元気づけられた。

覚悟を決めたとはいえ、やはり同じ人間を手に掛けるというのは想像以上に精神を疲弊するものだった。

さらに目の前で意味の分からない死に方をされて、緊張の糸がプツリと切れてしまったのだ。



「とにかく今はあの声の主に会いに行くとしようか」

そう言ってエアリアは天井の一点を睨む。

そこには街の街灯に付けられていた監視システムと同じものが存在していた。

「あイタっ!!」

そのとき後ろで何かが落ちるような音と、女性の短い叫び声が聞こえた。

二人が慌てて振り向くと、そこにはお尻をさすりながら立ち上がるカレンの姿があった。

上から降りようとして失敗したらしい。

「おいおい、大丈夫か?」

エアリアが駆け寄って様子を確かめる。

「すんまセん、階段壊れていまシたので」

どうやらケガもなかったようで、恥ずかしそうに笑いながら頭をかいている。

「痛い思いをしたばかりで悪いけど、また上に行くよ」

リオンの言葉にカレンの顔から笑みが消えた。

「え、じゃあウチが降りたのって……」

「残念だが無駄足にさせてしまったな」

エアリアの言葉にがっくり肩を落とすカレン。

「でも、ありがとう、心配して来てくれたんだろ?」

「ええ、でもやっぱりウチって間が悪いっすね……」

落ち込むカレンの肩を軽く叩き元気づけるリオンに、エアリアは上を見上げながら言った。

「上の階へはどう行こうか?」

その疑問に、再びしわがれた声が答える。


「ここから来るとよい」

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