年が明けても、友達のままですか?
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「うぅー、寒っ……」
大晦日。
駅から徒歩数分の場所にある元住吉神社は、初詣に向けて出店が立ち並び賑わっていた。
「結構いっぱい人がいるんだね。一ノ瀬、私こんな夜中に初詣に来たの初めてだよ」
隣で身を寄せる天宮は、きょろきょろと周りの様子を伺っていた。
まもなく日を跨いで新年を迎える。
本殿の前にはすでに行列が出来上がっていた。
「そうだな。俺は去年も、亮太と三好の三人で来たよ。その時も、めちゃくちゃ寒くて、正月はこたつでテレビでも眺めて過ごすのが正解だなって思ったことを、今更思い出したよ……」
「あはは、確かにちょっと寒いね」
そう言って、ギュッと腕にしがみつく天宮を見た。
少なくとも、去年よりは温かな気持ちで新年を迎えられそうだ。
本殿に行列を作る人たちがカウントダウンを始めた。
スマホを確認すると、時刻は23時59分。
まもなく年が明けるらしい。
「天宮」
「うん?」
「あけましておめでとう」
「うん。一ノ瀬、今年もよろしくお願いします」
そう言って、顔を合わせて二人で笑った。
「ねえ、一ノ瀬。私たちの関係ってさ、なんなのかな?やっぱり『友達』?」
上目遣いにジッと見つめてくる天宮から、俺は目を逸らす。
「いや、それは……い、言わなきゃダメ?恥ずかしいんだけど……」
「ちゃんと聞きたい。一ノ瀬の口から」
「うぅ、俺は……恋人、だと思ってる……よ?」
「なんで疑問形?」
「や。だからさ、照れるんだって、色々と」
腕をぐいっと引かれ、頬に柔らかな感触がした。
頬にキスをされたのだと、遅れて気づいて顔が赤くなる。
「あ、天宮……?」
見ると天宮も、自分と同じように頬を赤く染めていた。
「私、最近おかしいの。自制が効かないっていうか。一ノ瀬に触れたい。感じたい。キスしたいって。こんなに誰かを求めるの、初めてのことで」
天宮は不安そうな瞳で見つめてくる。
「……引いた?」
「いいや、まさか。嬉しいよ」
「ほんとに?その割に、一ノ瀬は全然そういうの見せないよね?」
それはそうだ。
俺だって健全な男子高校生なのだ。
欲望の赴くままに求めてたら、大変なことになる。
それこそ、引かれるかもしれない。
「私は知りたいよ。一ノ瀬のそういうとこも、全部。ねえ、教えて」
そう言って目を閉じ、少し顎を上げる天宮。
柔らかそうな唇が、すぐそこにある。
俺は、目を閉じて顔を向ける天宮のことを、ずっと見ていたいと思った。
幸せって、こういうのだろうな。
そう思った。
でも、このまま眺めて何もしなければ、天宮にめちゃくちゃ怒られるのだけは、はっきりわかる。
俺は覚悟を決めて、天宮に顔を近づける。
頬に、キスをした。
「えー、そこ?」
「……だからさ、恥ずかしいんだってば、色々と……」
「もう、しょうがないなあ」
天宮が、満面の笑みを浮かべる。
「次は、ちゃんとしてよね?」
おわり




