俺、夢オチ……?
今日二話目です!
あと三話投稿します!
カーテンから入り込んでくる光で目を覚ます。
起きてすぐに視界に入ってくるのは、無駄なものは何もない質素な部屋。
「ん・・・・・・。 夢オチ?」
俺は屋上から飛び降りたはずだ。
しかし体に痛みもなければ、もちろん死んでもいない。
「何か忘れてる気がするけど、思い出せないってことは重要なことじゃないのだろう」
ベッドから降り行きたくない学校に行く準備を始める。
学校に行かないという選択肢は俺にはない。
実家を追い出されたとき、学校だけは卒業するように言われているのだ。
そんなの知るかと勝手に学校を辞めれればいいのだろうが、そんなことをするとこの家すら失ってしまう。
それだけは回避しなければいけないのだ。
***
なぜこの世に学校なんて存在するのだろうか、社会で活躍する人を育てるため、コミュニケーション能力を育むため、そんな綺麗ごとで学校を作ったのなら、ない方がマシだった。
学校ではグループを作ることが当たり前で、何に対しても人気者が発言力を持ち、ほとんどの者が人気者と仲良くなろうと躍起になっている。
そんな場所だから、グループにも入らず、人気者でもない俺は一部の者から虐められている。
最初は教師に言ったこともある。しかし返ってきたきた言葉はありきたりもので思わず聞き返してしまったほどだ。
そんな学校にあっと一年も通わなければいけないと思うとものすごく憂鬱だ。
『おはよー。 今日体育とか最悪』
『だよねー。 体育の教師女子を見る視線エロいし』
考えても無駄なことはわかっているが、考えることはやめられない。
それもこれも、徐々に近づいてくる学校の存在が最悪の一日が始まることを嫌でも知らせてくるからだ。
***
教室に到着し自分の席に座るが、毎日のように俺が来ると絡みに来る高橋が他のことに気を取られてるようで、絡みに来ない。
このクラスは比較的に顔面偏差値が高く容姿で何か言われることはないが、やはりその中にもクラスカーストは存在するわけで、俺は最下位、絡んでくる高橋は中間より上だ。
そんなクラスでトップの二人が教室に入ってくる。
男は地毛で金髪のどこの王子様かと聞きたくなるほどの容姿をしており、名前を中村優と言いロシアと日本のハーフらしい。
もう一人が女子のカーストトップ白石美雪、艶のある綺麗な黒髪を腰まで伸ばし切れ長の瞳、すっと通った鼻筋、周りからお姉さまと呼ばれるほどかっこいい少女である。
そんな二人が揃って教室に入ってくると、さっきまで各々自由に話していたクラスメートたちが一斉に二人に集まっていく。
高橋も中村の元に駆け寄っていき肩を組んで何か話している。
こんなに人を集める二人が凄いのか、カーストトップに縋りつく周りの者が滑稽なのか俺にはわからない。
そんなことを考えていると、教室のドアが開き担任が入ってくる。
可愛い子には優しく、可愛くない子や男子には厳しい教師だが他の教師からは評判がいいらしい。
「今日は転校生がこのクラスに来る。 みんな仲良くするんだぞ!」
あのニヤけた表情を見るに自分好みの可愛い子がこのクラスに来るのだろう。
高橋たちが絡みに来ずに話していたのはこのことだったのかもしれない。
教室のドアから、まず鞄が見え次に真新しい制服が目に入る。
染めているのか茶髪の髪をサイドテールに結び二重で大きな瞳で緊張したようにクラスを見渡している。
「今日転校してきた、桜井葉月って言います。 変な時期に転校してきたんですが仲良くしていただけると嬉しいです」
頬をほんのりと赤く染めながら自己紹介する姿にクラスメイト達は言葉を発するのも忘れ見惚れているようだ。
転校してきた桜井葉月という少女はカーストトップの白石美雪すら霞むほどの可愛さで、見惚れていた男子達が我に返り騒ぎ出す。
「お前らうるさいぞ! 転校生が驚くだろ」
担任も注意こそすれ表情はにやけていて説得力はない。
そんな時に必ずと言って動くのがこのクラスの王子様、中村は男子達を静かにさせると困った様子の桜井を空いている席に案内してちゃっかりと学校案内の役を買って出たようだ。
「それじゃあホームルームを始めるぞ」
果たして担任の言葉は何人の耳に入ったのか、それほど転校生、桜井葉月がこのクラスに来たことに対する衝撃は大きかった。
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