表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
160/160

エピローグ

 夢の中で、電話が鳴っている。愛美まなみは電話を取り上げだが、それでも呼び出し音は止まらない。

 無意識に、目覚まし時計かと思って枕元を探った。閉じそうになる瞼を押し上げ、愛美は時計を見た。

 AM8:00少し前。

 目覚ましではなく、本物の電話が鳴っていることに気付き、愛美は慌てて起き上がるとリビングに向かった。

 愛美の寝惚けた頭に、紫苑しおんの声が柔らかく響く。

「今日からお仕事だと伺っていたので、出かける前に景気付けに電話したんですけど、迷惑でしたか?」

(仕事?)

 愛美の仕事は、SGAの新入社員としての初任務で緑ケ丘高校に潜入すること。

 愛美はほうけた頭でそこまで考えると、絶叫した。電話の向こうで紫苑が、思わず耳から受話器を離したほどだ。

「嘘ーっ、初日っから遅刻!」

 それだけ聞こえて切れた電話を、紫苑は茫然としたまま置いた。

 

 愛美は、大慌てで洗面などを済ます。寝室に戻ってパジャマを脱ぐと制服に着替えた。昨日の晩、初のブレザーに喜んでいて寝坊してしまった。

 昨日あんなに練習したのに、急いでいる時に限ってネクタイがうまく結べない。愛美は通学鞄を掴むと、一旦部屋を出た。

 しかし慌てて戻ると、ベッドサイドの小テーブルに置いておいた腕時計と定期券を掴んだ。

 一緒に置いてあった書類の束が床に散乱したが、拾っている暇はないので気にしなかった。

 再び愛美が、洗面所で暴れている音が聞こえる。

「あーん、最低! 初仕事早々遅刻なんて、綾瀬さんに絶対馬鹿にされる」

 愛美はトレードマークのポニーテールを振り乱しながら、玄関まで辿り着くとスニーカーに足を突っ込んだ。ボタンを止める手間や、紐を結ぶ手間を考えると、セーラー服にローファーの方が楽だと思いつつ。

「行ってきます」

 愛美は誰もいない部屋に向かってそう言うと、ドアに鍵を掛けてマンションの廊下を駆け出した。

 ゴミ袋を持った通勤前のサラリーマンらしき住人が、エレベーターのドアを閉めようとしたところを、愛美は待ってと叫んで閉まりかけた扉に滑り込んだ。驚いているサラリーマンは、この際気にしないことにする。

 

 愛美の寝室に散らばったままの書類の束が、隙間風か何かでパラパラと飛んだ。

 表紙には、緑ケ丘高校連続失踪事件の概要と印字されている。1P目には、緑ケ丘高校の来歴と見取り図。最重要機密と書かれた2P目には、新設校東京都立緑ケ丘高等学校で起こる怪現象についての記述があった。

 

 最重要機密

 この二ケ月あまりで、教師二名、生徒八名が、学校の校内で行方不明となっている。警察は、営利目的の大がかりな誘拐として捜査を進めている模様。SGAとしては、至急原因を解明して行方不明者の捜索に尽力を・・・。


――日常と非日常の隙間で、物語は続いていく。悪夢はまだ、始まったばかりだ――

地味なキャラや展開のお話に付き合って下さった奇特な方、ありがとうございました。

〈復讐編〉的な、一作目終わりました。

〈お仕事編〉は、来週水曜から始めます。

 一人でも、続きが読みたいと思う人がいたら良いのですが、どうでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ