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黒龍の御子  作者: taka
第二章 剣と狼
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第7話 出会い

 駆け出した時点で上空にいたリフリーたちは振り切る形になっていた事と、何より緊急時だと言う事で本来出せるスピードで木々の間を飛翔するように駆けていく。それなりに距離が開いているのか、木々の音にまぎれるようなものだったが確かに悲鳴が耳に届いた。


 商人側の生き残り?


 それともたまたま森の中に入った誰かか?


 疑問はあったがとにかく何かが起きているのは事実だろう。手遅れになる前に、早くっ。

 更に脚に力を込める。最早飛翔しているかのごときスピードで木々を抜けていく。っと、前方。まだ距離があるが、木々の間から_____


 「っ、あれは?」


 見て取れたのは、少し汚れたような白色の巨体の背。距離が近づくにつれその姿がはっきりと目に映った。人よりも二周りはあろう巨体。後ろからでもぎりぎり見て取れる体躯にしては小さい歪な三角の耳。ずんぐりと太った体に申し訳程度に掛けられたぼろきれを纏い、手には歪に曲がっている柄に刃を赤に染めた斧。

 オークだ。見るのは初めてだが、おそらく間違いはないだろう。ゴブリンと同じく知性は高くないらしいが、ゴブリンよりも遥かに大きな体躯、腕力を持ち、他種族に対して略奪を行うモンスター。それがどうやら4体いるようだ。


 そしてその巨体の隙間から見て取れた。一人の女の子だ。太い木を背にしてオークたちに取り囲まれている。逃げ道を塞がれて完全に怯えきっているようで、離れたこの位置からでも見て取れるほどに顔を青ざめさせ体を震わせている。

 そして一体のオークが彼女を掴もうと手を伸ばして_____


 「っ、はぁっ!」


 それを見て取った俺はちょうど足をかけていた木を踏み砕いて跳躍。まだいくらかあった距離を一気に詰め、空中で体を捻りオークの真横に来た時点で一気に、


 「っらぁ!!」


 オークの首筋に蹴りを叩き込んだ。オークの首の骨を砕いた感触を感じながら一気に足を振りぬき、オークを吹き飛ばす。蹴り飛ばされたオークは物凄いスピードで射線上にあった木々をなぎ倒しながら吹き飛び見えなくなった。突然の注入者に呆気に取られたように動きを止めたオーク、そのうち一番近くにいたオークを抜いた勢いそのままに長剣で叩き斬る。味方が斬り飛ばされたことでようやく再起動したらしい残りのオークが豚の頭を押しつぶしたような顔に怒りを浮かべ、それぞれ手にしていた斧で切りかかってきた。


 「ブオオォォォッ!」


 が、その一撃を体を軽く捻るようにしてかわし、無防備になった上体を問答無用で斬り飛ばす。その巨体ゆえ両断までは行かなかったが、明らかに即死するであろう一撃を受け後方に吹き飛ぶ。それを一瞥してから念のため辺りの気配を探る。この場にいるオーク3体は完全に死んでいる。最初に吹き飛ばしたオークもあの一撃で命を落としたようだ。起き上がってくる様子もなく気配も感じられない。

 ここでようやく一心地つこうとした所でこの場にいたもう一人を思い出し振り返る。


 どうやら腰を抜かしたらしく地面にぺたんと座り込んでいる女の子は目をまん丸に見開いてこちらを凝視している。見たところ体のあちこちに軽い擦り傷などはあるが、深刻そうな怪我はないようだ。

 その事に一先ず安心するがいくつかきになる点があった。

 目の前にいるこの子、同い年か少し下くらいだろうか?褐色の肌に紫の瞳。長く伸ばされた髪の毛は少し汚れているのか灰色がかっており、ぼろきれのような服を一枚着ているという身なりだ。どう考えても先ほど発見した商人一行の者とは考えづらい。

 なら、商人たちとはまったくの無関係でたまたまこの森に入った?女の子が一人で?それも考えづらい。


 なんにしてもこの子から話を聞けば何かわかるかもしれないし、なにより軽傷とはいえ傷の手当もしなきゃいけないし。そんな訳で長剣を一振りして血を払い鞘に収めてから向き直る。


 「大丈夫?とりあえず怪我の手当てをするから・・・」


 そう言って近寄ろうと一歩踏み出したのだか、途端に「ひぅっ!?」と言う悲鳴を上げて座りながらも後ろに下がってしまう。が、すぐさま後ろの木にぶつかりそのままガタガタと体を震わせながらこちらを凝視している。

 流石にこの反応には些か傷ついてしまったが、状況が状況なだけに無理もないかと思い直し、努めて怖がらせないよう優しく語り掛けることにする。


 「え~と、怖がるのも無理はないだろうけれど、俺は君に危害を加えたりしないから安心して。」


 そう言ってまた近づこうとしたがよりいっそう表情を強張らせ怯えてしまって、最早顔面蒼白を通り越している。(肌の色が褐色だからこの表現は可笑しいかな?)オマケに瞳にいっぱいの涙まで。


 「(完全に怯えられてるな。まあ、オークに襲われて、更にそのオークを一方的に斬り飛ばしたんだから無理もないんだろうけれど。どうしたものかな~?)」


 思わぬ事態に頭を悩ませる。そうしているうちに、


 「・・・・・っ、・・・」


 「・・・ん?」


 あれ、今何か言おうとした?少し考え込んでてなんていったのか_________












 「・・・・・・た、すけ・・。ひぅっ、・・ころ、さなぃで、・・・・コク、リュ・・さま・・・」













________________えっ?


 


感想などありがとうございます。

個々に返信は出来ていませんが全て目は通しています。

簡略になってしまいますがこの場で、ありがとうございます。

今後もよろしくお願いします。

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