1-7
彩夏は相変わらず山崎と盛り上がっていた。
山崎のことを気に入ったのだろうか。
その横で、岡澤はうなずいているだけだった。
「2とも飲んでるかな?」
トイレから帰ってきた2人に、携帯男の西岡が聞いてきた。もう携帯は触ってないが。
「うん、飲んでるよ」
愛が答えた。
「ね〜戸川さんも彼氏いるの〜??」
さっき茜とそんな話をしていたので、茜が不倫していることは知ったようだ。
「私はいないよ」
そっけない態度で愛は答えた。
「へぇ〜、してそうな感じなのにね戸川さんって」
「私ってどんなふうに見えてるの?」
愛は失礼なことをいう西岡にむっとした。
「そうだね〜…、いつも綺麗で、旦那さんはかっこよくて…、でも他にも彼氏がいそう。戸川さんって結構もてるでしょ?」
「そんなことはないよ。こんな女いっぱいいると思うけど。それに男なんてよってこないよ」
「そうかな〜、戸川さんも茜さんも男がよってきそうなオーラが溢れ出てるんだけどな〜」
「どんなオーラなの〜、意味わかんないよ」
愛の隣から、田中と喋っていた茜がつっこんできた。
「わかるな〜、西岡が言ってること」
田中も話に入ってきた。
「女の人はガードの固そうな子と、そうでない子がいるんだよな〜」
田中が話を続けた。
「そうそう、田中さんわかってるじゃないですか〜。」
西岡は嬉しそうである。
「それはさ〜、真面目そうに見えるか、軽い女に見えるかってことなんじゃないの?」
愛はそんなわかりあっている2人に対して、自分たちが軽い女に見られるのが嫌だった。
「いや戸川さん、それはちょっと違うんだよ。真面目そうに見える子でも、スキだらけの子は結構いるよ。反対に軽そうに見える子でも、近寄るなオーラが溢れてる子もいるからね」
西岡が語り、隣で田中がうなずいている。
「へぇ〜難しいんだね」
愛はどうでもいい話だったが、いちよう納得して見せた。
「西岡君って嫁以外に彼女いるの?」
愛はそんな語っていた西岡にふと聞いてみた。
「俺は女性とは遊んだりするけど、固定の人はいないかな」
「それっていろんな子と身体の関係持ってるってことなの?」
愛は西岡につっこんだ質問をしてみた。
「俺は今の生活がつまらないから、他で気を紛らわしているだけかな。だから深い関係にはなりたくないんだよ」
「え〜でも、愛のないHなんて最低じゃん」
「戸川さんって結構ピュアなんだね」
西岡は愛からそんな言葉がでてくるとは思っていなかったのか、驚いている。
「私はそんなHは絶対にいや。それは相手の女の人はどう思ってるの〜?」
「相手の人は俺と一緒の気持ちなんだろうね。でもなかに拒否ってくる子もいるからね。そういう子は戸川さんと同じ気持ちなんだろうね。いちよう相手の同意の元でやってるんだよ」
「まぁ〜私にはそういう人達の気持ちはわからないよ」
「戸川さんって癒し系なんだね。戸川さんみたいに身体以外で癒してくれる人もいいかもね。すごく落ち着くかも」
愛は自分が癒し系だなんて初めて言われたのだ。
今までは、面白いとか、気が強いとか、よく喋るとかは言われてきたが、癒されるなんてことを言われたのは初めてだった。
「愛が癒し系?あり得ない、あり得ない」
隣で茜と田中が大笑いしている。
「ね〜愛さ〜、田中さんなんてどう?彼女募集中なんだって」
茜は突然聞いてきた。
愛はあまりにも突然だったのでどう答えていいのかわからなくなり、笑顔がひきずってしまった。
「愛ちゃん、いきなりじゃなくてもいいから、メールぐらいから始めようよ」
田中ものってきた。
「別にメールぐらいいいけど、私めんどくさがりだから返事とか返さないかもよ」
愛はあまり乗り気ではなかったが、しつこい2人に押されぎみだった。
「いいよ、いいよ、じゃー赤外線受信して。アドレス送るから」
田中はそう言って携帯を差し出してきた。
愛は仕方なく携帯をだし、アドレスを受信したのだった。
「じゃ〜メールしてみて」
田中は早く愛のアドレスがほしいのか、携帯を持った手を離さない。
愛は田中のアドレスを確認し、なにも打たずにメールを送った。
田中はメールが来たのを確認したのか、独りで喜んでいる。
愛が田中のアドレスを登録していると、西岡が小さな声で喋りかけてきた。
「ね〜戸川さん、俺にもアドレス教えてくれないかな〜?」
「えっ?」
あまりにも小さな声だったので、愛は聞き直した。
「アドレス教えて」
西岡は、さっきより少し大きな声だったので、今度は愛にも聞こえた。
さっきの田中とどうように突然だったので、少し考えた愛ではあったが、1人も2人も変わらないかと、愛のめんどくさがりがこんなところででてしまった。
こんなことをしているから、軽い女だと思われるのだろう。
「赤外線するから送ってくれる?」
愛は、そう言って携帯を見せた。
「うん、ありがとう」
西岡は田中とか違い、笑顔ではあるがクールである。
愛は受信した西岡のアドレスを確認し、空メールを送った。
しばらくすると、愛の携帯にメールが届いた。西岡がもう送ってきたのだ。
《ありがとう(^.^)》
内容はそれだけだったが。
さすがに携帯をずっと触っているだけのことはある。
愛はそのメールについて返事はしなかったが。
…メールがまたきた。
今度は田中だった。
《愛ちゃんのメールGET(^.^)これからよろしくね(^^)v》
田中らしい内容だった。
ふと田中を見ると、こっちを見てニコニコしている。
茜も隣でそのやりとりを見ていたのだろう。愛の顔を見てニコニコしている。
「じゃ〜そろそろお開きにしようか」
坂上が店員を呼んで会計をしている。
みんなそれぞれに、帰る用意を始めだした。
「今日はありがとうね。すごく楽しかったよ」
坂上は茜と喋っている。
「愛ちゃんまたね。」
田中が笑顔で手をふってきた。酔っているのか、足元はかなりふらついていたが。
「ありがとう」
愛もそんな田中に対して適当に笑顔で返しておいた。
みんなと別れた愛と茜は、呼んでおいた代行で家路についた。
その車の中で、茜は一人でずっと喋っていたかとおもえば、急に静かになり、寝てしまっていた。
茜の家に着き、自分の車で引続き代行運転してもらい、愛も自分の家へと向かった。
「ただいま…」
時刻はpm11:00。
家の中は静まりかえり、真っ暗だった。
子供はもちろん、旦那も寝ているのだろう。
愛はそそくさとシャワーを浴び、子供達がいる部屋へと向かった。
桜も向日葵も可愛い顔でぐっすり寝ている。
愛は、桜と向日葵の寝顔を確認するとすぐに目を閉じたのだった。




